久元 喜造ブログ

西村京太郎『神戸電鉄殺人事件』

もちろん、タイトルに惹かれて購入しました。
神戸電鉄はどんなふうに登場するのだろうと期待して読み始めました。
表紙には、見慣れた車両の写真もあります。

物語は、わがままな女優が新横浜での撮影現場に姿を見せず、行方不明になってところから始まります。
そして、彼女の死体が神戸・北野の異人館のプールで発見されところから、事件は展開し始めます。

次々に起きる殺人事件。
戦時中、カンボジアで特務機関が行った悪行、そして戦後どさくさに紛れて日本に運び込まれたらしい仏像が事件の焦点として浮かび上がってきます。
仏像のオークションが、有馬温泉「グランドありま」で開かれることになりました。
十津川警部は、新幹線で神戸に向かいます。
県警本部で打ち合わせした後、新神戸駅の地下に下り、北神急行に乗車。
「この路線が走る区間はほぼトンネルで、外の景色はほとんど見えない。谷上駅で、今度は神戸電鉄に乗り換えた。紅葉はまだ早かったが、車内は、観光客でにぎわっている」

殺人事件は、十津川警部が有馬に滞在中、神戸電鉄の車両の中でも起きます。
有馬温泉駅と有馬口を走る電車の中で死体が発見されました。
被害者二人は、終点の新開地駅までの切符を持っていました。
関東出身の二人は、一駅区間を行ったり来たりする電車があるとは思わず、眠り込んでしまいます。
犯人は車内で二人を刺し、次の駅に着いて逃げ、死体を乗せた電車は勝手に戻っていきました。

タイトルの割には、神戸電鉄が登場する部分はごくわずかです。
ダイヤについての仕掛けがあるわけでもありません。
ミステリーとして面白いかと言えば、意見が分かれるところでしょう。