久元 喜造ブログ

「リーダーの本棚」に追加したい1冊


2年半ほど前、 日経新聞リーダーの本棚」に、私の読書歴を取り上げていただいたことがありました。(2015年9月20日朝刊)
見出しは、「近代が立体的に見える瞬間」。
日本の近代システムを創り上げていった政治家、官僚たちの群像、彼らを冷ややかに眺めていた永井荷風、さらにはプロレタリア文学、西洋音楽の摂取、大陸人脈の系譜などの視点を交錯させることによって、日本の近代を立体的に見ることができるのではないか、という問題提起でした。

このほど、日本経済出版社 から『リーダーの本棚』が単行本として出版されました。
各界の方々とともに、私のインタビューも掲載され、光栄に存じております。
この中で、『明治国家をつくる』(御厨貴著 藤原書店) を取り上げたのは、地方制度の整備と首都東京の建設が密接にリンクしていて、このことは、今日、地方創生と東京問題との関連に通じると感じたからです。

一方、我が国の近代化と経済発展には、神戸も大きく貢献しました。
神戸は日本を代表する国際港湾都市として発展していきましたが、同時に、労働問題や貧困など我が国の近代化の過程で露呈していった矛盾が噴出し、無産政党の活動も盛んでした。

火輪の海-松方幸次郎とその時代-』 (神戸新聞社編)には、松方の生涯を通じて、神戸の近代が鮮やかに描かれていますが、そこに描かれている大都市神戸の発展と混沌は、我が国近代の縮図でもありました。
日経新聞社からインタビューを受けたとき、本書を含めていれば、さらに「立体的」に我が国の近代を俯瞰することができたのではないかと改めて悔やまれます。