先日の毎日新聞に、自らの怒りをコントロールする、「アンガーマネジメント」に関する記事が掲載されていました。
感情の爆発に身を任せるのではなく、怒りを適切にコントロールすることは、家庭生活や社会生活を送る上で、たいへん重要です。
怒りの話題で想い起こされるのは、霞ヶ関にいたとき、かなり長くお仕えした、某大臣のことです。
とにかく、怒鳴りまくる、怒り狂うのが有名で、総務省幹部の「大臣室に入るのがつらい」というコメントが新聞に掲載されたほどです。
私も、怒鳴られたのは、10回や20回ではすみません。部屋から追い出されたこともありました。(20分後にはまた入りましたが・・・・)
ある日、大臣レクのために大臣室の前で待っていると、部屋の中からものすごい怒鳴り声が聞こえてきました。
ドアは閉まっていましたが、外までガンガン聞こえてくる怒声は、ずいぶん長く続きました。大臣秘書官室の話では、電話の相手は、突飛な言動で知られる別の大臣とのことでした。
怒声が収まり、私がレクに入ることになりましたが、正直、気が進みませんでした。
長年の経験で、政治家に説明に入るときは、説明の内容、そして説明の仕方のほかに、説明に入るタイミングが成否を決することを知っていたからです。
ご機嫌が悪いときに、ましてや、怒り狂っておられるときに入っても、碌なことはありません。
不安な気持ちを抱きつつ大臣室に入り、説明を始めると、某大臣の様子は、予想とはまったく違いました。
完全に冷静だったのです。
つい1分前まで、あれほど怒り狂っていた雰囲気はまったくありませんでした。
大臣レクは、淡々と終わり、案件の了解をいただくのに、時間は要しませんでした。
少なくとも、大臣は、感情の赴くままに、怒りを爆発させていたのではなかったのです。
おそらくは、自らの怒りを、見事にコントロールされていたのはないかと、毎日新聞の記事を読んで、改めて想像しました。