久元 喜造ブログ

奇書?「これでいいのか 神戸市」の問題提起

日本の特別地域「これでいいのか 神戸市」(マイクロマガジン社)。
表紙カバーには、「神戸の 素顔を 暴く!」の大きな字が躍ります。

koubesi

少々長いのですが、「はじめに」を引用させていただきましょう。

「オシャレ」
「エキゾチック」
「行きかう女の子がかわいい」、

神戸という街を擬人化したらさぞがしモテることだろう。

実際に神戸は国内有数の観光地である一方、イメージで語られるほど素晴らしい街ではないことは、
この街に暮らす読者諸兄が最も痛切に感じている。

確かに、高度成長期のころには『株式会社・神戸市』とも称され、
ポートアイランドや六甲アイランドの造成事業など、
斬新なチャレンジで世の中の注目を集めてきた。

ただ、いま神戸市のあちこちから聞こえてくるのは景気の悪い話ばかりである。
ガラガラの観覧車が寂しく回るハーバーランド、
ゴーストタウンのような一画もあるポートアイランド、
そしてガールズバーのケバいおネエちゃんばかりがハバを利かせ、
飲食店は閑古鳥が鳴く三宮の歓楽街――。

ただ、街に人がいないのも、産業に元気がないから当然ではある。
かつては国際貿易の拠点として港が存在感を発揮し、
のちには鉄鋼や造船といった重工業が街の活気を生み出してきたが、
いまや起爆剤となる存在すら見当たらない。

せっかくスパコンを作っても
「2位ではダメなんですか?」とケチがつけられた途端、
本当に2位に落ちてしまう始末である。

神戸を愛するからこそ、いまこのタイミングで声を大にして
「これでいいのか神戸市!」と言わせてもらいたい。

街を包む閉塞感は今に始まったことではなく、
阪神・淡路大震災以来ずっと続いてきたものであることは百も承知。

ただ、すべてを震災のせいにして立ち止まってきた時間がいささか長すぎはしないだろうか?

本書では地域性、行政、気質などさまざまな見地から
神戸市が抱えるタブーや問題点に鋭いツッコミを入れつつ、
神戸の街を紐解いた一冊である。

神戸人として頭に来ないと言えば嘘になりますし、明らかな間違いや誇張が含まれていますが、否定しきれない事実がたくさん含まれていることも確かです。
編者は、神戸にゆかりのある3人のライター。
鋭いツッコミの中に、神戸への愛情が感じられます。

「プライドの高い神戸人のこと、ただ黙って一地方都市に甘んじるのは面白くないはず。
「いつやるの?今でしょ!」この言葉を最後に神戸人に贈りたい」

神戸人へのエールとして素直に受け止め、公約づくりをスピードアップさせたいと思います。