久元 喜造ブログ

旧グラシアニ邸の再建

北野の異人館「旧グラシアニ邸」が、昨年2月に全焼したことは、大きな驚きと悲しみでした。
放火の疑いで、容疑者がすでに逮捕されており、現在、裁判が行われています。

その「旧グラシアニ邸」が、このほど再建され、フランス料理レストラン『ラ メゾン ドゥ グラシアニ 神戸北野』として、9月14日に営業が開始されました。

振り返れば、「旧グラシアニ邸」は、1908(明治41)年,フランス人貿易商グラシアニの自宅として建設されました。
神戸市の伝統的建造物に指定されていました。
北野の異人館の多くを描いた、小松益喜画伯の作品を、神戸ゆかりの美術館 で開催された展覧会で見た記憶があります。
この絵は、1970年頃に描かれたようです。

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2007年(平成19年)、レストランに改装され、大阪の八尾市に本社がある平川商事のグループ会社が運営を行っていました。

今回の再建に当たっては、焼け残った白壁の一部や,緑色の雨戸や窓枠などを再利用されたそうで、上の絵と比べても、 以前とほぼ同じ姿が蘇ったと言えそうです。
もちろん、歳月を重ねることにより醸し出される雰囲気は、再現しようもありませんが、これは致し方のないことです。

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約3億円の再建費用のうち、約7,000万円を国と神戸市が助成しました。
近年、全国各地で、貴重な伝統的建造物の焼失が相次いでいることは、たいへん悲しいことです。
そのような中で、「旧グラシアニ邸」が、多くにみなさんの努力と、行政の協力によって、このように蘇ったことは、素晴らしいことだと思います。
末永く、後世に伝えていきたいものです。