久元 喜造ブログ

選挙におけるネガティブキャンペーン

我が国は、戦後、アメリカの影響を受けてきました。アメリカで起きていることは、すぐに日本でも起きると言われます。
そのような中にあって、アメリカでひろく行われているけれども、我が国では起きていない事象もあります。
選挙時におけるネガティブキャンペーンも、そのひとつかもしれません。アメリカの選挙では、テレビを使ったネガティブ広告が大量に流されます。
下の Youtube は、2012年の大統領選で共和党の予備選挙が行われたときに、ロン・ポール陣営がニュート・ギングリッチ議員を攻撃したテレビ広告です。

このテレビ広告では、
・ギングリッチ議員が連邦下院議長になった1994年に67.5万ドルであった資産が、4年後に最大750万ドルに達し、議長時代に巨額の富を得た。
・議長時代に84回にわたって、倫理上の問題点を指摘された。
・破たん直前の連邦住宅金融抵当公庫(通称「Freddie Mac」)から最大180万ドルの献金を受けた。
・民主党オバマ大統領の政策である、強制医療保険(health insurance mandate)に賛成した。
・講演で6万ドルの報酬を得た。
といった点を挙げ、攻撃を加えています。
そして、このテレビ広告は、”Serial hypocrisy”(度重なる偽善行為)という言葉で締めくくられます。

もっとひどいCMもあるようで、これでも比較的穏やかなのかも知れませんが、日本ではまず行われないでしょう。

我が国で、このようなネガティブ広告が行われないのは、政治資金制度の違いがあるのかも知れませんが、相手候補に対する誹謗中傷が日本人の感性に合わないからかも知れません。
このことは、日本人として誇ってもよいことではないでしょうか。

ただ、懸念材料もあります。
ネット上での誹謗中傷です。テレビのCMほど誰もが目にするわけではありませんが、確実に広がっているのは残念です。

同時に、そのような誹謗中傷は、やはり日本人の感性に合わないのではないでしょうか。
誹謗中傷に頼ってばかりいる陣営は、結局は、心ある有権者から見放されていくような気がします。