久元 喜造ブログ

「特別自治市」について⑤(歴史に学ぶ)

「特別自治市」の実現のためには、何が必要でしょうか。
ここで想起されるべきは、1947年に制定された地方自治法で、「特別市」が制度化されたことだと思います。
地方自治法は、戦後の大都市制度として、東京向けには、戦時中につくられた「東京都制」を受け継ぐ「都区制度」を、そして、神戸などの五大市に対しては、 「特別市」の制度を用意しました。

「特別市」は、戦前において、東京市、大阪市、神戸市などの六大市が繰り広げた「特別市制」運動の成果でした。神戸市会も、自治を重視する大都市制度について議論を重ね、内務省に対して意見書を提出しています。
内務省地方局は、「特別市制」について真剣に検討した形跡がありますが、戦争の激化のため、地方制度論は逆の方向をたどることになり、東京市は、昭和18年、東京都制の制定によって解体されてしまいます。
しかし、戦前における長い運動は、戦後において「特別市」という形で結実することになりました。 残念ながら、制度化はなされたものの、府県側の抵抗により、実現されることはありませんでしたが。

神戸市は、このような歴史に学び、「特別自治市」運動を、ほかの心ある指定都市と連帯して進めていくべきだと思います。
そのような努力なくして、「特別自治市」の制度化はありえないことでしょう。
そして、そのような運動は、全国的規模で、地方自治制度改革の議論として行うべき事柄であり、兵庫県に対して行うものでもなければ、兵庫県と神戸市の間での論争の材料にすべきものではありません。
道州制への動きや次期地方制度調査会における地方自治制度改革の動きを冷静に注目しながら、全国を舞台に、戦略的に運動を展開していくことが求められます。