神戸空港の国際空港化はこうして実現した

神戸空港は、24時間使える海上空港です。それなのに、どうして運航時間や発着枠の制限があるのか、疑問に感じるみなさんもおられることと思います。これには、半世紀以上にもわたる長い経緯がありました。

1960年代、関西に新しい空港をつくろうとういう議論が本格化した頃、本命視されたのが、「神戸沖」でした。 空港建設をめぐって世論は二分。1973年(昭和48年)の市長選挙は、空港建設の是非が激しく争われ、空港反対を唱える現職の宮崎辰雄市長が勝利しました。 これで神戸沖空港構想はとん挫し、さまざまな経緯を経て、現在の関西国際空港が開港しました。 それでもやはり神戸には空港が必要だという議論は、市会、経済界を中心に根強くあり、神戸市は、兵庫県、神戸経済界とともに神戸空港建設を国に働きかけました。それまでの経緯を踏まえれば、容易ではありませんでしたが、建設への機運が高まり、2006年2月「神戸空港」が開港しました。

神戸空港・国際化への道筋

関西に3つの空港が誕生しましたが、それまでの経緯を踏まえれば、神戸空港は、関西国際空港を補完する存在であり、国際線の就航は関西国際空港に限定するとともに、発着回数と運用時間に制限が設けられました。

神戸空港を巡る環境が大きく動いたのは、2018年4月の神戸空港の運営権譲渡、いわゆるコンセッションでした。これにより、神戸空港は、関西国際空港、伊丹の大阪国際空港を運営する関西エアポート㈱が実質的に運営することになりました。三空港一体運用の実現です。 これで、神戸空港の立ち位置は大きく変わりました。 神戸空港を賢く利用することが、関西全体の発展につながるという理解が進んだのです。

神戸空港・国際化への道筋

2019年5月、8年ぶりに「関西3空港懇談会」が開催されて神戸空港の発着枠の拡大、運用時間の延長が合意されました。 さらに2022年9月の同懇談会で、2025年に国内線の発着回数を1日あたり最大120回とするとともに、国際チャーター便の運航をスタートさせ、2030年前後には1日あたり最大40回の国際定期便の運航を目指すことが認められました。

神戸空港・国際化への道筋 神戸空港・国際化への道筋

神戸市はこれを受け、今西副市長をトップとする「神戸空港国際化本部」を設置し、国際チャーター便とその後の定期便化も見据えたエアライン誘致、インバウンド誘客やビジネス需要の創出、空港の利便性向上などについて組織横断的かつ戦略的な取組みを進めました。 このような努力が実を結び、2024年9月24日には、大韓航空から、来春からソウル(仁川国際空港)=神戸便を1日2往復する就航計画が表明されました。 大韓航空は、ソウル(仁川国際空港)をハブとし、世界33ヵ国、100都市との航空ネットワークを構築しています。 さらに、同年12月4日には、台湾のスターラックス航空から、神戸=台北(桃園)線を週3便、神戸=台中線を週7便、合計週10便を運航する計画が表明されました。 台北(桃園)空港も99の国際路線が運行されている国際空港です。 神戸は、ソウル、台北を経由して世界の諸都市とつながることになります。

神戸空港の新しいターミナル(第2ターミナル)は、2025年4月18日から営業がスタートします。神戸空港が国際空港となることにより、神戸はかつてとはまた異なる、新しい時代の国際都市としての飛躍が期待されます。

© 久元きぞう公式Webサイト