特別定額給付金のスピード給付はこうして実現した
昨年(令和2年)、国の施策として、全国民に一律10万円の特別定額給付金が給付されました。神戸市での給付事務は次のように進められ、大都市としてはトップクラスのスピードでした。
4月23日 | 特別定額給付金準備室開設 | 国予算成立(4月30日)前 |
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5月1日 | オンライン申請受付開始 | 全国最速 |
5月14日 | 申請書の郵送開始 | 100万人以上の都市で最速 |
5月18日 | オンライン申請分の給付開始 | 同上 |
5月28日 | 郵送申請分の給付開始 | 同上 |
5月29日 | 申請確認サービス(Web)開始 | 政令市初 |
6月10日 | 振込の本格化 | 最大約75千件/日 |
7月9日 | 期限1か月キャンペーン展開 | 以降、約24千件の新規申請 |
8月18日 | 申請期限 給付約758千世帯/全市約764千世帯 | 政令市最高の給付率(99.3%) |
全国トップクラスのスピード給付が可能になったのは、まず立ち上がりが早かったことです。支給金額も未だ定かでなかった4月15日に担当課長の発令を行い、次に、最大300名程度のスタッフが給付作業をする「給付金事務センター」を確保しました。新型コロナウイルス感染症対策として、三密を避け得る広さがあり、通勤の便が良く、スタッフ確保の点からも理想的なスペースでした。
当初、申請はマイナンバーカードによるオンラインのみになるとの報道もありましたが、郵送申請がなくなることはないと判断し、作業量や仕様も未定のまま4月中に印刷業者を確保しました。これはその後のスムースな申請書の発送につながりました。
予想どおり、申請方法はオンライン方式と郵送方式で自治体が判断するとの方針が国から示され、本市は併用を決定しました。
オンライン申請については、当初、マイナンバーカードを使用することが示されたのみで、情報の受け渡し方法や仕様が明らかでないまま、見切り発車を余儀なくされました。
国の事業開始に合わせ、5月1日から受付を開始しましたが、二重申請や世帯主以外でも申請ができる等の不備があり、混乱が生じました。結局、1件毎の目視での確認および手入力を余儀なくされ、昔ながらの深夜残業と人海戦術で対応せざるを得ない状況になりました。オンライン申請が最もローカルな処理となったことは大きな皮肉でした。一日も早い郵送申請の開始が必要でした。
郵送申請については、国から示された申請書の標準様式では、「給付金の受給を希望されない方はチェック」とする欄があるのみで(「希望する」欄はない)、誤って「希望しない」にチェックしてしまう可能性が予想されたため、市独自に受取の「希望」及び「不要」のチェック欄を並べ、いずれかを選んでチェックできる工夫をしました。
発送に際しては、区毎にばらつきがないよう神戸中央郵便局と綿密に調整し、5月14日に子育て世帯から順次発送を開始し、5月20日には発送を完了しました。後日、返送された申請書には、400通を超える市民の方からの感謝メッセージが添えられ、職員、スタッフ一同の励みとなりました。
申請が増えるにつれ、「申請書が届いたか不安」、「振込予定日はいつか」といった問い合わせが多く寄せられ始め、コールセンターの業務を圧迫することになりました。そこで、パソコンやスマホから申請状況が確認できる申請確認サービス(Web)「給付の見える化」を5月29日に開始しました。さらに、全市の申請や給付の状況をグラフ化し、毎日公開するなど情報発信に努めたことが、問い合わせの減少につながりました。
6月上旬には事業者開発による市給付システムが本格稼働し、最大で1日7万5千件(6月10日)の振込を行うなど順調に推移し、6月末には、ほぼ振込を完了するに至りました。
しかし依然として申請されていない未申請世帯(約3万世帯)への対応が課題でした。再度の周知が必要と考え、7月9日に「申請期限まで残り1か月!」キャンペーンと銘打ち、全ての未申請世帯に申請書を再送付しました。
加えて、新聞折込広告、街角デジタルサイネージなどあらゆる手段で周知を図ったことが功を奏し、以降、約2万4千世帯の新規申請がありました。申請期限日(8月18日)時点では、政令市で最高の給付率(99.3%)を達成することができました。
私も特別定額給付金室に出向き、意見交換をしたこともありましたが、給付事務の段取りや独自のアイデアは、職員のみなさんがすべて編み出してくれました。市職員とパーソルテンプフタッフ株式会社のみなさんとのチームワークが、スピーディーな給付を可能にしました。