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こうして北区に二番目の区役所ができた

2019年(平成31年)4月、北区に北神区役所がオープンしました。一つの区に二つ目の区役所ができたのは、おそらく全国で最初だったと思います。どうしてこんなことが可能になったのでしょうか。

北区は、神戸市全体の面積の約40%を占める大きな区です。広い区域の中で北神地域は北区の面積の約60%を占め、人口もずっと8万人を超えていました。私が市長に就任したとき、北区の区役所は南部地域の鈴蘭台にあり、北神地域の中心である岡場には北区役所の出先機関である北神出張所が置かれていました。出張所の業務は狭かったため、2017年(平成29年)4月、北神出張所を北神支所に格上げし、取り扱い業務を拡充しました。それでも北神支所では対応できない業務があり、北神地域のみなさんは電車で30分近くかかる鈴蘭台の北区役所まで出向かなければなりませんでした。

北神地域は、人口と面積と考えれば、一つの区にしてもおかしくはありません。しかし北神地域の北区からの分区、新たな区の設置は、さまざまな議論を呼ぶことが確実で、現実的な選択肢ではありませんでした。そこで思い至ったのが、岡場の北神支所をさらに「北神区役所」に格上げできないかということでした。

「一つの区に二つの区役所」。区役所は区に一つというのが常識です。本当にこんなことができるのでしょうか。 地方自治法を読んでみると、直感的に何とかできそうな気がしたので、当時の市民参画推進局に検討をお願いしました。すると職員のみなさんは、実に素晴らしい結論を導いてくれたのです。それは次のような解釈でした。

地⽅⾃治法第252条の20第1項は、「指定都市は、市⻑の権限に属する事務を分掌させるため、条例で、その区域を分けて区を設け、区の事務所⼜は必要があると認めるときはその出張所を置くものとする」と規定している。第3項では「区にその事務所の⻑として区⻑を置く」とされており、第1項、第3項を併せて読めば、区には一つの事務所に⼀⼈の区⻑を置くというのが法の趣旨であると解される。

しかし、この事務所を特定の一つの場所に置かなければならないということは規定されていない。事務所の⼀部の組織をある場所に、残りの組織を別の場所に置くことは許容されるのではないか。

また、事務所の名称は条例で定めることとされ(同条2項)、法令上の制限はないため、事務所の二つの部分に任意の名称を付けることは自治体の判断でできる。そうであれば、鈴蘭台に置く事務所の部分の名称は「北区役所」、岡場に置く部分の名称は「北神区役所」にすれば良いのだ。

このような解釈の下に「神戸市区設置条例」「神戸市区の事務所の名称、位置及び所管区域等に関する条例」「神戸市区役所⽀所及び出張所設置条例」を統合して「神戸市区の設置等に関する条例」を新たに制定し、その中で北区に北区役所と北神区役所という二つの区役所を設置する旨規定しました。こうして、神戸市で10か所目となる「北神区役所」が誕生することとなったのです。

こうして北区に二番目の区役所ができた

2019年4月に北神区役所が開設された直後、隣接する商業施設であるエコール・リラのリニューアルにあわせ、「北神図書館」と「こべっこあそびひろば」もオープンしました。グランドピアノのストリートピアノも設置されました。 区役所のある街・岡場は、神戸北部地域における新たな拠点として発展していくことが期待されています。

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