阪神大震災26年
「まちづくり 予定通りに」
久元・神戸市長に聞く
阪神淡路大震災から26年となるのを前に、神戸市の久元喜造市長が読売新聞のインタビューに応じた。事業完了の見通しが立った新長田駅南地区(長田区)の再開発事業を振り返ったほか、間もなく10年を迎える東日本大震災についても語った。
(聞き手・大背戸 将)
――新長田の再開発事業の検証が行われた。
終局のめどがついたタイミングで、外部の目を入れた形で総括しておきたかった。2300億円近い税金が投じられ、市民や関係者の間でも賛否があったが、地域の8割以上が被害を受けており、当時の市政として、スピーディーに前に進めるという選択をぎりぎりの判断でしたのだと思う。
検証結果では「にぎわいが十分生まれなかった」などの課題を指摘された一方、被災者の住宅や商売の場所の提供はかなり早期にできた。想定外の大災害に直面した当時の状況を踏まえると、事業の良しあしを評価するのは、正直難しい。
――今年は東日本大震災から10年を迎える。
神戸が理想的な形とは言えないと思うが、「復興した」というのは間違いなく言える。その間の進め方に関しては、東北のまちづくりにも一定の影響を与えているはずだ。
新長田のように、大規模な事業には弊害があると判断し、縮小したケースもあったと思う。市としては、当時の対応に対し、批判が生じうる内容も含め、外部の人も検証できるよう情報を開示することが大切だ。
――コロナ禍で、市の財政が悪化している。
痛手だが、神戸は震災の影響でインフラ整備やまちづくりは遅れており、予定通りにやりたい。震災後、職員を大幅に削減するなどして財政再建を進めた。引き続き行政のスリム化を図り、国の資金や市債を有効に活用し財源を捻出する。