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読売新聞 令和2年11月21日(土)朝刊 15面 論点スペシャル

「特別自治市」選択肢に

 政令指定都市を解体して究極的に二重行政を解消しようとした大阪都構想は、大都市法に基づき2度の住民投票が行われた。ならば道府県と大都市の役割の一体化という目的は同じだが全く逆の方向、政令市が道府県から独立をする「特別自治市」の制度も選択肢として作ることが、バランスの取れたあるべき地方自治制度の姿だと考える。

 グローバル社会を見た時、個性ある大都市が圏域を牽引し、国民経済を豊かにすることにつながっているのは紛れもない事実。そんな中で大都市を解体するのではなく、大都市の独立性を高め、より創意ある都市経営を進めていくことは不可欠だ。

 20市による指定都市市長会では「多様な大都市制度実現プロジェクト」を設け、私はそのプロジェクトリーダーを務めることになった。特別自治市制度の立法化に向けた素案を来年5月をめどにまとめる予定だ。

 二重行政の解消ともう一つ、重要な観点として、加速を続ける首都圏への極端な人口と富の一極集中の問題がある。1980年代の「中曽根民活」の時代はむしろ東京に人口集中することがわが国の経済発展にプラスだと考えられたように思う。しかし今はどうか。超高齢社会に入り、生産年齢人口は減少していく。地方の農山村地域はそのピークを過ぎ、これからこの波が来るのは大都市だ。

 産業投資、インフラ投資に伴うリターンも低下し、大都会固有の貧困の問題もあって、生活保護率は全国平均より政令市は軒並み高いなど、大都市財政の悪化は中長期的に続く。

 一方で、東京23区と政令市を比較すると、区民・市民1人あたりの基金残高は23区の方が約6倍に上る。私が市長になった7年前は4倍だったが、こうした格差は拡大している。

 果たしてこれでいいのか。私はやはり東京一極集中を是正し「多極分散型」の国土を作っていくべきだと思っている。諸外国でも大都市が広域自治体から独立して存在する制度はある。一つのモデルとしてドイツではベルリンとハンブルク、ブレーメンは州と同じ「都市州」とされ、多極分散型を形成する。

 国内で以前からある論点として、政令市が独立すると道府県の財政に支障が出るのではという点があり、この議論やシミュレーションは避けて通れない。ただし財源の奪い合いのような形に矮小化することなく、特別自治市とは東京一極集中を是正するための受け皿を作る提案だ。特に政令市を抱える道府県知事との間で連携を探り、問題提起ができればと考えている。

(大阪本社編集委員 橋本 直人)

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