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読売新聞 2020年(令和2年)10月14日(水曜日)夕刊 10面

選択ふたたび ――私の視点

「特別自治市」も議論を

 大阪都構想が提起されるきっかけになった、道府県と政令市の「二重行政」は制度に起因し、必ず生じるものだ。

 1956年の地方自治法改正で政令市が誕生した時、ほぼ同等の権限を市に与えながらも都道府県から独立させず、内側にとどめた。今の制度では、中小企業への制度融資や観光施策などを道府県と政令市の双方が手がけることができ、調整が必要になる。

 これを根本的に解決する方法の一つとして提唱されたのが、政令市を解体して道府県に権限を移す都構想だ。

 一方、重複する権限を政令市に一元化する考えもある。「特別自治市」として指定都市市長会が提案している。

 制度論でいえば、特別自治市も制度化すべきだというのが私の考えだ。都構想か、特別自治市かの選択肢がある方が制度として均衡がとれる。

 制度が必要だと考えるのは、世界的にグローバル社会、経済を牽引しているのは大都市だからだ。ドイツではベルリンやハンブルクといった大都市が州から独立した市である「都市州」として存在し、多極分散型の国をつくっている。日本でも東京一極集中の是正につながるはずだ。

 一方で、特別自治市には、都市圏の中心部が独立することで道府県の財政が悪化し、周辺自治体との調整機能が低下するとの指摘がある。

 神戸市が特別自治市になるべきだと考えているわけではない。二重行政の度合いや内容は地域で異なるからだ。

 自治省時代に政令市である札幌市、政令市を内部にもつ京都府の双方に出向した。その経験から、首長同士の関係性、道府県に占める政令市の人口割合などが影響するのだろうと感じる。

 神戸市と兵庫県も対立した時代があると聞くが、阪神大震災からの復興もあり、今はうまく連携できている。

 都構想は現在、制度案が住民投票にかけられている。その評価は避けたいが、可決されれば、東京と大阪の2極で国をリードしていく可能性もある。だからこそ、もう一つの方向性である特別自治市の議論もまた求められる時期にきているのではないか。

(聞き手・南 暁子)

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