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日本経済新聞 2020年(令和2年)9月15日(火曜日)朝刊 41面

大阪都構想 再び審判へ 課題を聞く

東京一極集中の是正 期待
脱・二重行政 他制度も必要

大阪市を廃止し特別区を設置する「大阪都構想」を周辺自治体はどう見ているのか。同じく政令市の久元喜造神戸市長は、東京一極集中が是正され関西圏の発展につながる可能性があると期待する。一方で、神戸市は都構想とは逆に、政令市の権限を強化し県から独立させる「特別自治市」を目指すという。

――兵庫県・神戸市の仕事が重複する「二重行政」はありますか。

「農業や河川管理の事務所が県と市にそれぞれ存在するなど、多少はある。ただ、県税事務所と市税事務所は同じ建物にあり、東京事務所は県と市が同居して事務を一本化するなど、二重行政の解消に努めている」
「新型コロナウイルス対応でも、県の調整で市の重症患者を市外の病院で受け入れてもらうなど連携できている」

――都構想をどう見ていますか。

「制度案にコメントする立場にないが、大阪と神戸は深いつながりがあり、非常に関心がある」
「仮に都構想が実現すれば、東京一極集中を是正し(東京、大阪の)二極構造で経済発展を導く可能性がある。経済面などで関西が地盤沈下しているのは事実。関西圏の発展につなげる形で都構想が進むのを期待する」
「大阪維新の会は、府と市が長年対立して『府市合わせ(不幸せ)』の関係だったと説明している。ただ、特別区制度では財源配分などで府と特別区が対立する可能性があり、うまくいくかが課題だ」

――神戸市の都市の形はどうあるべきですか。

「大多数の市民は今の姿を望んでいると思う。政令市のままでいるのが基本だ。ただ、1956年に制定された政令市制度は(都道府県との)二重行政が避けられない。『特別自治市』制度ができれば取り入れたい」

――特別自治市制度は、全国の政令市でつくる指定都市市長会が2010年に提唱しましたが議論が停滞しています。

「都構想の住民投票に合わせて大都市のあり方の議論が活発になるだろう。内閣と主要政党で法改正などを議論すべく指定都市市長会から情報発信したい。二重行政解消の手段として、広域自治体に権限を移す特別区制度とともに、特別自治市制度をつくるのが均衡のとれた地方自治制度だ」

――都道府県を10程度の道や州に再編する「道州制」の構想もあります。

「安全保障や外交などを除き、国の役割や権限を道州に大幅に委譲するもので、東京一極集中を多極分散型に転換する非常に有力な手段だ。ただ政府の権限を移すとなれば相当な覚悟が必要で、内閣と主要政党が重要なアジェンダ(行動計画)として掲げない限り実現可能性は低い」

(大元 裕行)

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