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時事通信社(iJANP) 令和2年1月17日(金)配信

【トップインタビュー】
◇災害に強いまちづくり発信=久元喜造・神戸市長

 阪神大震災から17日で25年を迎えた神戸市。久元喜造市長(ひさもと・きぞう=65)は「神戸は全く地震の備えのない中で、想像を絶する困難に直面し、いち早く災害に強いまちづくりをスタートさせた」と振り返る。その象徴が「20年をかけて完成した大容量送水管の整備」。今後も先端技術を活用し、災害に強いまちづくりを進化、発信していく考えだ。

 大容量送水管は、災害時でも12日分の生活用水を確保できる。「震災直後、避難所も断水して極めて悲惨な状況に陥ったという苦い経験に基づき、神戸が初めて整備した」という。これをモデルに他の大都市にも広がっている。

 南海トラフ地震の津波対策も着々と進めている。「レベル1(マグニチュード8クラス)に対応できる防波堤の整備が完了し、今年度中にはレベル2(同9クラス)の対策が完了する」。先端技術を取り入れ、津波や高潮時に水門と防潮の鉄扉を遠隔操作で閉めるシステムも順次導入を始めた。

 「先駆的な取り組みを発信することが神戸のできる貢献になる」。同時に「内外の支援を受けて復興してきたからこそ、感謝の気持ちを忘れず、被災地に貢献を行う都市であり続けたい」と考えている。東日本大震災、熊本地震、台風19号の被災地に現在も職員を派遣している。

 震災を経験した職員の記憶、教訓を継承していく努力も続ける。昨年4月1日時点で、震災時に入庁していなかった職員は全体の59%になった。東日本大震災の被災地には、震災を経験した職員と若手職員がペアやチームを組んで支援を行った。「実際に自治体の被災地で汗を流すことを通じて、経験した職員の思いが伝わる効果もある」とみる。

 近年災害が相次ぎ、市民レベルや地域での防災対策への関心も高まっている。「特に大規模災害の場合には、行政だけでは対応できない部分があるので、市民ぐるみの防災対策は非常に重要」と訴える。

 震災後、各地区で設立を後押しした自主防災組織の活動が全国的に知られているが、「地域で温度差はあり、行政としてしっかりと広げていく。自助、共助、公助のバランスの取れたやり方で全体として災害に強い地域をつくっていく」と語る。

 復旧と復興、それに伴う財政危機を経て市は今、人口減少に直面している。「震災がなければやらなければいけなかった事業、やることができた事業がある。遅れを取り戻すという決意を持ってスピード感を持って進めていかなければならない」と力を込める。

 昨年は神戸空港の規制緩和による新規路線の開設が実現した。空港へのアクセス強化など陸海空の基盤整備、都心・三宮の再整備と、長年の課題だったプロジェクトが動きだしている。都心だけでなく、主要な駅で駅前空間を刷新し、地域間の交流を活発化する施策など、人口減少対策に急ピッチで取り組む。

 〔横顔〕現在2期目で、神戸に帰って7年余り。「神戸は戦前から公共交通網が発達していて便利な街だ。都心にタワーマンションを林立させて人口増を図るのではなく、バランスの取れた、人間サイズの街を目指す」が持論だ。

 〔市の自慢〕大都市の魅力がある一方、海と山があり、豊かな自然があふれる。「両方の魅力を持っているのが良さ」という。

(神戸総局・馬場美都子)(了)(2020年1月17日配信)

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