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神戸新聞 平成30年11月20日(火)朝刊

神戸市 縦割り打破へ改組
久元市長就任5年「つなぐ課」検討

 神戸市の久元喜造市長は、20日の就任5年を前に神戸新聞社のインタビューに応じ、部局をまたぐ地域課題を発掘し、庁内を巡って解決法を探る遊撃部隊「(仮称)つなぐ課」を来年度にも新設することを検討すると明らかにした。縦割り行政の悪弊を打破するため、日常業務を一切持たず、市会からの問題提起や市長の特命を受けて動く。専門家によると、重要施策の調整を担当する部署がある自治体は少なくないが、完全な遊撃部隊の新設は珍しいという。

 久元市長は「(市長就任から)5年間、縦割り行政や(業務の)タコつぼ化の打破を重要な組織管理上のテーマとして模索してきた」と強調。プロジェクトチームを編成し、市街地の活性化などに取り組んだこともあったが、顕著な成果が上げられていないという。

 一方、一部地域には、電球が切れた街灯やごみステーションの管理不全、機能しなくなった町内会など、多様な要因が絡み合って荒廃していくケースもあり、包括的に課題と向き合う部署が必要と判断した。

 市長の構想によると、つなぐ課は企画調整局か市長室に数人から10人までの規模。同課職員が住民や庁内各課に話を聞いた上で、対症療法ではない課題解決の方向性を探り、各局に新たな対応を促す。有識者の知見を得たり他都市の先行事例を調べたり、支援が必要な人に支援者を紹介したりすることも視野に入れる。

 久元市長は「横断的な政策課題と考えられる問題は空き地・空き家や子どもの貧困、環境保全など多岐にわたる。それらの問題に対して、なぜ縦割りの対応になっているのかを分析するところから始めたい」と語った。 (霍見真一郎)


都市の価値高め人材確保
児童学力向上 改革を強調

 20日の就任5年を前に神戸新聞のインタビューに応じた神戸市の久元喜造市長は、人口減対策や庁内組織の風土改革の強化などに意欲をみせた。主なやり取りは次の通り。

-就任から5年を振り返って。

 「私が市長になってから神戸の街が大きく変わったり、行政サービスが大きく向上したりしたわけでもない。十分な実績が残せていないことを大変申し訳なく思う。ただ、阪神・淡路大震災から20年以上たって、ようやく取り組めることがあるのも事実。できるだけ効果が表れるようスピード感を持って取り組みたい」

-人口減対策が課題だ。

 「震災後、職員を減らし、財政構造は改善した。大阪湾岸道路(阪神高速湾岸線)西伸部や神戸空港の利活用、都心・三宮の再整備、郊外を含む駅前再開発など、インフラの再整備とまちづくりを積極的に行うことで、街を活性化させていく」

 「人口を増やすこと自体を目標にしない。都市の規模よりも生活の質や都市の価値を高めることに視点を置いた政策を展開する。この点は、経済界とも一致している。人口減少を食い止める手段となり、優れた人材が集まることにつながる」

-「都市の価値」を高めるには。

 「山と海がある美しい自然や、震災後に助け合った市民の温かみを大切にしたい。開港150年を迎えた神戸には、未知のものを取り入れ、新たな価値を創造していく市民性もある。今のグローバル社会で、アジア太平洋地域の大都市が置かれた状況を冷静に観察したら、何をすべきか。新たなビジネス展開などで、世界に羽ばたく人材を育てることが神戸のブランドの一つになる」

 「例えば、文教面でのステータス。初等、中等教育は市が重要な部分を担うが、全国学力テストの結果を見ると、小学校は下位、中学校は上位のグループという傾向が続く。私立中学校への進学で学力の高い層が抜けるのに、中学の成績の方がいい。よっぽど小学校に問題があるということだ。市教委は早急にガバナンスの立て直しを図り、死に物狂いで学力向上に取り組まねばならない」

-新年度に向けて。

 「本当の意味で美しいまちにしていく。地域の荒廃や行政の怠慢によって、まちをほったらかしにしてきた面が否めない。デザイン景観に配慮しつつ、老朽危険家屋の対策も強化する。街をメンテナンスし、美しい景観やたたずまいを創出していきたい」

 「5年間、縦割り行政や(組織の)タコつぼ化をいかになくすか、模索してきた。さまざまな取り組みで部分的な効果はあったが、改善されたかというと必ずしもそうではない。若手職員からは『新しいことを考えても、市長には届かない』との声を聞く。多様な人材を入れ、組織を変えていかないといけない」 (聞き手・霍見真一郎、石沢菜々子)

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