メディア掲載

media

毎日新聞平成27年12月25日に、鼎談が掲載されました

20151225mainichi
論ステーション
広く市民に根付いているか

久元喜造さん 神戸市長

 市の財政を見ると、社会保障費は増え続け、南海トラフ地震対策など命に関わる分野の出費も必要だ。フルートコンクールは1985年に始まったが、その後も神戸ルミナリエなど補助事業は増えた。今後人口は減り、若者も減る。財政の持続には、税金の使い道に優先順位をつけなければならない。
 緊急性や市民福祉に関係するかどうかでは、文化や芸術の優先順位は低い。その分野でどう税金を使うべきか。まずはインフラだ。文化ホールや美術館は、活動する市民のため市が整備をする。コンサートなどイベントへの補助は、市民生活に良い影響や経済効果があるかで判断すべきだ。
 コンクールはどうか。出場者は予選が終われば神戸を去り、入賞者の活躍の場も主に海外だ。30年近く続いたが、市のアンケート調査では市民の認知度は26%だけだ。運営費のほとんどは公費だが、恩恵を受けるのは一部の人で、大半の市民が知らなかった。神戸の名を国際的に広めるという意見もあるが、神戸の知名度には様々な理由があり、PRのために5000万円は出せない。
 文化芸術と補助金を滅多切りにするのではない。広く市民に根付くイベントには補助していいが、そうでなければ、関心を持つ方々、価値や社会的意義を見いだす方々が、企業の協賛や市民の寄付を集めることが基本だ。行政に「やってください」と頼むのではなく、事業の価値を共有できる方々に支援を訴え、それでもお金が足りなければ、手弁当で企画するなどの努力がなされるべきだ。
 芸術文化は、王侯貴族が趣味として応援する形で発展した。これに対し、民主的に運営される地方自治体はその立場にない。税の使い道には幅広い合意が必要で、市民と関係の薄い芸術分野を首長の趣味で応援するのは、市民への裏切り行為だ。
 補助はやめるが、コンクールをやめるとは言っていない。幸い、寄付をいただけることになったのでコンクール開催のめどが立った。次回はコンクールをさらに発展させ、「音楽祭」の形を提案したい。にぎわいや経済効果を生み出す広がりのある音楽祭になれば、将来、税金を投入する理由も出てくる。
【聞き手・久野洋】

ひさもと・きぞう 1954年神戸市生まれ。76年自治省(現総務省)入省。自治行政局長などを経て2013年、神戸市長に初当選。妻祐子さんは国立音大准教授のピアニスト。


4年に1度、運営費6000万円
 神戸国際フルートコンクールは1985年にスタートし、4年に1度開催。2013年まで8回の入賞者にはベルリン・フィルハーモニー管弦楽団で首席を務めるエマニュエル・パユ氏(89年1位)ら世界的奏者が名を連ねる。神戸市は約6000万円のコンクール運営資金の8割を補助金として支出する大口の「スポンサー」だった。補助金廃止で存続が危ぶまれたが、一般財団法人「セレモア文化財団」(東京)の辻正司氏と家族から3年間で計4200万円の寄付の申し出があった。久元市長が知人の辻氏に支援を求めたという。
 近年、財政健全化策として、文化事業が標的になるケースが目立つ。大阪府は大阪センチュリー交響楽団(当時)への補助金を2011年度から廃止。大阪市は文楽協会などへの補助金を打ち切った。

LinkedIn にシェア
LINEで送る
Pocket

その他の活動状況