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毎日新聞(2015年5月11日朝刊)に、発言が掲載されました

20150511mainichi
毎日新聞(2015年5月11日朝刊)

OSAKA 都構想 考④
独立をかけた綱引き

 「大都市制度故革は、大日本帝国ですら手を焼いた難題だ。今回、住民投票で決着がつくことに大きな関心がある」
 大阪都構想の住民投票の根拠となる大都市地域特別区設置法の制定時、総務省自治行政局長として関わった久元喜造神戸市長(61)がこう語る。
 明治、大正、昭和にかけ、大都市と府県が権限を奪い合って対立する中、東京都が戦時中の1943(昭和18)年に誕生した。当時の東京市は東京府の人口の大半を占め、府市の二重行政が既に問題になっていた。防空体制の早期確立が急がれており、東京府・市が解体され、トップは都長官(当時)に一本化された。久元市長は「戦時下では強制的に都市問題を解決した。だが、今回の大阪の住民投票は民主的な手段で大都市のあり方を決める」と評価する。
 56年に導入された政令市制度はそもそも、府県からの独立を望む政令市と、傘下にとどまらせようとする府県の両方の意見を取り入れた側面がある。地方自治法から、政令市の独立に関する条項が削られる一方、政令市への大幅な権限移譲が加えられた。政令市の誕生自体が二重行政の問題を複雑にしたともいえ、久元市長はこの制度を「妥協の産物」と言い切る。
 二重行政の解消策の主流は「特別自治市」だ。指定都市市長会が2010年に提言し、13年には横浜市が独自の大綱をまとめた。政令市の権限を強化して、府県と対等になるというものだ。広域の事務権限と府(都)に吸い上げるは対照的な制度だが、法整備は進んでいない。
 住民投票を評価する久元市長だが、大阪以外で都構想を適用することについては否定的だ。近世以来、経済や流通の中心だった大阪を「超大都市」と位置づけ、その他の都市は解体すれば地方経済を牽引する力がなくなると考えている。「大阪では都構想の議論が古くからあった」とも話し、特別自治市の実現を求めている。
 東日本大震災の経験から、仙台市の奥山恵美子市長(63)も政令市の権限強化を訴える。災害救助法に基づく権限が宮城県知事に集中するため、仮説住宅建設など一部の権限を市に委任するよう求めたが、県側に「知事が全体を統轄する」として断られた。
 二重行政の解消を巡る議論は名古屋市と愛知県で取り組む「中京都構想」や「新潟州構想」など、各地で出ている。だが地域の個別事情を解決する必要があるほか、法整備なども含め実現に向けたハードルは高い。
 都構想の賛否は拮抗してる。結果はどうあれ、住民が大阪市のあり方を決める初の選択となる。

【山下貴史、熊谷豪】
=つづく

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