メディア掲載

media

毎日新聞(2015年4月10日朝刊)に発言が掲載されました

毎日新聞2015年4月10日朝刊 <オピニオン opinion> 3空港一体の運営権売却で
毎日新聞2015年4月10日朝刊 <オピニオン opinion>
3空港一体の運営権売却で


久元喜造さん 神戸市長

 神戸空港は今年2月で開港9年を迎えた。2014年度の旅客数は240万人を超えて、3年ぶりに前年実績を上回る見通しだ。ただ、搭乗率は09年度の70.9%をピークに、12年度以降、65%前後で推移している。06年2 月の開港以来の平均は66.5%と必ずしも高くなく、利活用の促進が最大の課題だ。
 神戸空港の最も現実的な活性化策は、(民間企業連合で作る)新運営会社による関西国際、大阪(伊丹)両空港との「3空港一体運営]だ。将来、増加が見込まれる関西全体の航空需要に対応するには、3空港を一体的に運営して、役割分担を図る必要がある。
 関西国際、大阪の両空港をめぐっては現在、両空港を経営する新関西国際空港会社が運営権売却(コンセッション)手続きを進めている。今後決まる新運営会社に対し、時機を失することなく、神戸空港の運営権を売却するととが不可欠だと考えている。そのために、神戸市は15年度当初予算に調査費2 億円を計上した。運営権売却に向けて神戸空港の資産査定や事業スキーム設定などの調査を進める。

 海上空港である神戸空港の本来の魅力は24時間利用できること。しかし、現在は国の規制で1日の発着枠が30便に制限され、運航時間も午前7 時から午後10時までと決められており、ポテンシャル(潜在力)を最大限に発揮できていない。神戸空港が単独で国に規制緩和を働きかけても「神戸からの声」でしかない。しかし、一体運営になれば、「関西全体の経済浮揚につながる」という大きな視点でアピールできることから、国に対する発言権が広がることに期待したい。
 コンセッションが実現すれば、新運営会社はビジネスを拡大し、収益を向上させる観点から、3空港の役割分担を図ることになるだろう。関西国際空港が今後も西日本におけるハブ空港の役割を担うことに変わりはないだろうが、神戸空港をどう位置づけ、路線やダイヤをどう設定すれば効果的なのか。新運営会社から助言を求められる場面があれば、神戸市も利便性が高まるように意見を申し上げたい。

 神戸空港では現在、「西日本の拠点空港」と位置づけているスカイマークをはじめ、全日本空輸、エア・ドゥ、スカイネットアジア航空(ソラシドエア)の計4社が羽田や札幌など国内8都市へ定期便を就航させている。発着枠の7割を占めるスカイマークが今年1月、民事再生法の適用を申請して経営破綻したことに伴い、一時的に発着便数が減った。8月末には米子便が廃止されるが、魅力的な観光地を抱える山陰に40分でアクセスできるメリットを生かし、多くの人に利用してもらえると期待していただけに残念だ。一方で那覇便は増えるので、旅行会社とも連携して利用客を増やしていきたい。
 スカイマークは9 月以降、破綻前と同じ1日21便体制を維持する方針を示している。大手企業や金融機関など各方面から経営支援の申し出もあると聞いており、民事再生手続きにのっとって同社の再建が順調に進むことを期待している。
 コンセッションが実現した場合、スカイマークの破綻が神戸空港の資産査定などに全く影響しないとは言い切れないが、経営状況と空港の価値は違うものだ。神戸空港はアクスの良さも強みだ。新交通システムでJR三ノ宮駅に18分で行け、大阪に足を延ばすにも便利。新神戸駅も近く、新幹線への乗り継ぎもスムーズだ。
また、近くのポートアイランドには、企業292社が集まる医療産業都市があり、最先端の研究が集積している。ここでは世界最高性能を目指す理化学研究所の次世代スーパーコンピューター「京」の後継機開発プロジェクトも進められており、産業的にも大きな魅力のある場所だ。コンセッションを実現し神戸空港を活性化させることが、関西の経済・社会全体の発展に役立つと確信している。

ひさもと・きぞう
1954年神戸市生まれ。東大卒、76年自治省(現総務省)入省。総務省自治行政局長などを経て2012年に神戸市副市長。13年に同市長に初当選。中心市街地活性化と里山居住にカを入れる。

【聞き手・神足俊輔】

経営厳しい空港多く

 国内には97空港があり、国際または国内輸送網の拠点となる28の「拠点空港」と、地方自治体が設置・管理する54の「地方管理空港」に大別される。その他は自衛隊との共用空港や短距離路線のコミューター空港など。羽田や成田、関西国際、大阪(伊丹)、中部は「拠点空港」 、神戸は「地方管理空港」だ。

 経営形態はさまざまで、羽田は国が運営する一方、成田や関空・大阪は特別法で設立された国の100%出資の株式会社が運営。中部は国と自治体、民間企業が共同出資する第三セクターの株式会社が運営している。旅客低迷や、建設時の巨額債務の返済などで経営が厳しい空港が多く、国土突通省は空港の運営権を民間企業に売却するコンセッションを導入するなどして経営改革を進めている。

LinkedIn にシェア
LINEで送る
Pocket