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毎日新聞全国版(2014年7月10日朝刊)に、発言が掲載されました

260710毎日新聞13面オピニオン

毎日新聞 発言
「空き家対策に共同サイトを」
神戸市長 久元 喜造
 
近年、空き家・空き地の増加が問題になっている。深刻なのは、老朽化で倒壊の危険のある空き家や雑草が生い茂った不衛生な空き地など、周辺住民の生活環境を脅かし、不安を与えているケースだ。
 その維持管理は本来、所有者の責任だ。だが、無人になっているため、自治体の窓口には市民からの相談や苦情が日々寄せられている。
神戸市は昨年に条例を改正し、老朽危険家屋の所有者等に対する指導・勧告や従わなかった場合の氏名等の公表、また、解体費用に対する一部補助などの支援制度を設けた。徐々に成果を挙げつつある。
 しかしながら問題は、所有者不明の不動産が増えていることだ。所有者が分からなければ、条例に基づく勧告や支援もできない。神戸市では、不動産登記や戸籍による確認、周辺住民からの聞き取りなどで懸命に所有者を探し出そうとしているが、未登記の場合や相続人への名義変更がされていないケースも多い。
 やはり、空き家問題の抜本的な解決には、自治体が所有者を特定できる実効的な手段を整備するなど、制度的な対応が不可欠だ。
 この問題については与党が「空家等対策の推進に関する特別措置法案」を準備しており先の国会での提出も検討された。地方税法上、固定資産税に関する情報の利用には厳しい制約があるが、特措法案では所有者の特定に活用することができるとされている。これはきわめて大きな前進であり、この点も含め、同法案の早期提出を強く望みたい。
 それでもなお、所有者が特定できない場合もある。このため法案では所有者を確知できないときには、あらかじめ公告を行い、市町村長がみずから空き家の除却等を行うことができるとも定めていた。略式代執行と呼ばれる手続きである。
 しかし、代執行には多額の費用を要する。この費用は後に所有者に請求することができるが、結局、所有者を特定できず、回収不能に終わることが多いのが実態である。代執行を行うにしても、やはり所有者の特定が重要になる。
 そこで、一つ提案したい。国土交通省や総務省などの中央官庁、あるいは自治体が共同でポータルサイトを立ち上げ、特定困難な事案に関する不動産の所在地、登記簿上の所有者の氏名、対応が必要な理由と状況などの情報を掲載し、本人が名乗り出るように促すのである。
 サイトで所有者探しをすれば代執行の前提手続きとなる「公告」よりも見つける可能性が高まることが期待される。そのうえで、所有者が一定期間内に名乗り出ず、公益上も放置できないものについては、首長による代執行手続きに移行できるようにすればよい。
 さらなる活用も考えられる。神戸市ではまだ事態は深刻ではないが、所有者が不明であるため道路用地等の買収に困難を来している自治体も多い。ポータルサイトをさらに拡張し、用地買収等にも活用できないだろうか。社会が人口減少に向かう中、空き家対策が先進的な政策テーマであるとの認識を共有したい。

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