仕事に対する姿勢|第16代神戸市長 久元きぞう公式サイト -神戸上昇気流-

私は、長く、国と地方自治体で、公務員として、働いてきました。
民間企業などで働いた経験は、ありません。
ほんとうは、自治体の経営に当たる者には、公務と民間と両方の経験があることが理想だと思います。
しかし、欧米のように、複数の職場を渡り歩きながら、キャリアアップを図る道が限られている日本で、両方の経験を持つことができる機会はきわめて少ないのが現状です。
また、人間に与えられた時間には限りがあり、同時にふたつの世界に属することはできませんでした。
私には、公務員としてのひとすじの道が、天命であったのだと振り返っています。

もちろん、自治体の経営に、民間の知恵や発想を取り入れることは、必要です。
そのためには、民間の人材を起用するほか、役所改革や個々の政策の立案・実施に、実際にビジネスに携わっておられるさまざまな分野のみなさんに、直接、参画していただくことが必要です。
組織全体としての対応が求められています。

同時に、役所であれ、民間企業であれ、組織として仕事をしていく上で大切なことは、共通していることも多いように思えます。
たとえば、その組織に属する者が、任務に対する思いを共有し、互いの個性を大切にしながら、しっかりとしたマネジメントのもとに、効率的に仕事をしていくことは、同じだと思います。
各自の自由な発想を思い切って開花してもらいながら、良好なチームワークをつくりあげていく必要性も、共通していると思います。

そして、何よりも、組織の中で、情報の共有を図っていくことです。

以下の文章は、節目の時期に、組織内の職員全員に送ったメールです。
そのときどきの状況により、内容は異なりますが、私なりの仕事に対する姿勢を示したものになっています。

市役所職員のみなさんへ送ったメール

在宅勤務の要件緩和について(平成28年7月27日)

8月1日に在宅勤務の要件を緩和します。
具体的には、これまでは子育て(小学校就学前)や介護を行っていることを要件にしていましたが、その要件を撤廃します。また、週1回に限っていた利用回数を4回まで増やした上で、半日単位の利用も可能とします。
一部の民間企業では、子育て・介護等の要件を設けずに在宅勤務を行っているところもありますが、政令市では初めての取り組みになります。
今回、このような大幅な制度拡充に踏みきったのは、職員の皆さん一人ひとりにワークライフバランス(仕事と生活の調和)について考えていただく契機にしていただきたかったからです。

職員の皆さんのなかには、時間外勤務が年間1,000時間を超えるケースもみられます。長時間の時間外勤務が続くと、心身の健康に悪影響を及ぼし、生活に支障をきたす恐れがあります。このような長時間勤務とあわせて、経常的・構造的時間外勤務は解消しなければなりません。

そのためには、すべての職場において所属長が中心となって、時間外勤務が発生している原因を分析し、所属職員間の業務のアンバランスの是正や業務改善について議論を深めてほしいと思います。あわせて、各部長には部内、各局長には局内の調整・マネジメントをお願いしたいと思います。
また、職員のみなさんにも業務の標準化や文書の整理など、仕事を効率的に行う工夫をしていただきたいと思います。

このような業務効率化の観点からも、仕事の進め方の計画性向上や、自宅で集中して業務を行うことで仕事の生産性向上が期待できる在宅勤務の活用は重要です。
今は、タブレット端末の台数の関係で、定員は20名と限られていますが、今後は庶務事務システムや電子決裁への接続を可能にするとともに、定員の拡大も検討します。また、在宅勤務を負い目に感じることや、許さないような雰囲気があっては意味がありません。管理職の意識改革を含めて、在宅勤務を利用しやすい環境づくりに取り組んでいきたいと思います。

是非、みなさんも一度、在宅勤務を利用していただき、通勤に要していた時間を家族や友人との時間や自己研さんの時間に充ててみてはいかがでしょうか。
こうした取り組みにより、職員の皆さんの心や体のゆとりが生まれ、仕事への意欲向上や組織の活性化につながっていくことを期待しています。

熊本地震への対応(平成28年4月28日)

このたびの熊本、大分での地震により被災された方々に心からお見舞いを申しあげるとともに、自らも被災者でありながら、不眠不休で住民対応をされている自治体職員各位に敬意を表します。

職員の皆さんにおかれましては、連続する余震に不安をいだきながら避難生活を余儀なくされている多くの方々がおられることに胸を痛めていることと思います。
神戸市は、阪神・淡路大震災に際して国内外からいただいた支援に対する感謝の気持ちを胸に抱き、これまでも東日本大震災をはじめ、様々な被災地支援に取り組んできたところです。
今回、地震発生を受け、4月18日には、「平成28年熊本地震」緊急応援対策本部を立ち上げ、全庁あげて被災地支援を行うことを指示しました。

これまで、先遣隊として現場の情報収集の任務にあたっていただいた職員の皆さんをはじめとして、消防、医療、水道、廃棄物処理、避難所運営など、多岐にわたる支援活動にあたっていただいており、4月28日までに298名もの職員の皆さんに従事していただいております。
困難な状況の中での精力的かつ献身的な被災地支援の取り組みに心から感謝申しあげます。
阪神・淡路大震災を経験した職員、東日本大震災で支援活動を経験した職員だけではなく、経験の有無に関わらず自ら志願して派遣隊に入っていただいた方も多くおられるとお聞きしています。
強い使命感を持って取り組まれる神戸市の派遣隊の支援活動は、被災地の皆さんにとって非常に心強く感じられることと思います。
同時にこのような思いや経験が職員の皆さんの中で共有され、受け継がれていくことが大変意義深いことであると考えています。
また、快く派遣隊として職員を送り出していただいた各所属の皆さんにも感謝申しあげます。

今後、時間の経過とともに求められる支援も変化してきます。現地の情報を的確に把握し、震災を経験した神戸市だからこそできる、被災地に寄り添った息の長い支援を行っていきたいと思います。
被災地の一日も早い復旧を願い、引き続き職員の皆さんの積極的な協力をお願いします。

北方領土がない日本地図はだめです(平成28年3月25日)

最近、ある自治体がつくったポスターの中の日本地図に、北方領土が入っていなかったことが報道され、国会でも取り上げられたりしました。
実は、以前、神戸市役所でも似たようなことがあったので、所感を記しておきたいと思います。

1年半くらい前のことでした。
海外で神戸をPRする英文のパンフレットが出来上がり、開いてみると、神戸の位置を示した日本地図に、北方領土と沖縄が入っていないのです。
もう必要部数の印刷は終わっているとのことでしたが、私は、すべて廃棄し、作り直していただくようお願いしました。
自治体が作成する資料の日本地図に、ましてや海外で配布するものから、北方領土が抜け落ちているなど許されることではありません。
神戸市は日本を代表する国際都市なのですから、そこで仕事をする私たちには、外交面も含めた国際感覚が求められます。
国際的な場で恥ずかしい思いをしないよう、センスを磨きたいものです。

ちなみに、北方領土の件については、庶務担当課長会議(当時)で、このようなことがないよう徹底をお願いしたのですが、翌日の政策会議に別の局から出された説明資料の日本地図には、北方領土が見事に抜け落ちていました。
この日本地図はあってもなくてもどうでもよいものでしたが、会議の内容がまったく幹部に伝わっていないことに落胆しました。

神戸市役所のような大きな組織において情報を共有していくことはなかなか大変ですが、イントラネットの活用も含め、みんなが知恵を出し合い、意思疎通を図っていくことが必要です。
最近の報道を受けて、改めて職員の皆さんにも事の重大性を理解していただきたいと思います。

パワーポイントを使った資料作成について(平成27年9月15日)

毎日の仕事、お疲れ様です。
政策論議は大事で、職員のみなさんには、そのための説明資料の作成に苦労していただいていると承知しています。
政策会議などでは、ほとんどの局はパワーポイントを使った資料で説明していますが、この点について、多少、感じていることがあるので、記してみました。

まず、政策論議においては、提案している政策の目的、背景、具体的な実施内容(誰が、どこで、何を、どのように、いつまでに)を明確にする必要がありますが、パワポの資料は、しばしばこれらの点がイメージ化され、曖昧になるきらいがあると感じます。

また、「市役所改革に関するアンケート」では、作成する資料が多すぎるという意見を多数いただいていますが、パワポ資料には、写真やイラストが多用され、作成にはかなりの手間がかかっているのではないかと想像します。
また、パワポ資料は、枚数が多くなりがちで、印刷や綴じるための労力や経費が相当かかっていると想像します。

実質的で実りある論議のためには、表形式の資料はエクセル、文章ならワードを活用した簡潔な資料を用意していただくことも含めて、考えていただきたいと思います。
視覚効果を狙ったイラスト、漫画などは、庁内論議では、そんなに必要性は高くないと感じます。
また、写真については、スクリーンに映写すればよいのではないでしょうか。

このメールが、一律にパワポを使うのをやめるべきだと申しあげていると受け取らないでください。
上手にパワポを使っている局もありますし、ワードやエクセルと効果的に使い分ければ、有効な場合もあることでしょう。
要は、会議や打ち合わせの目的に応じて、実質的な論議が効率的に行われるためには、どのような資料が適当かについて、広い意味での費用対効果を勘案し、よく考えていただきたいということです。

また、庁外のプレゼンでは、パワポは有効です。
この場合でも、配付する資料と映写する資料とは、作成方法に違いが出てくることは当然です。

今日のメールの内容は、職員のみなさんの業務に関することですので、ご意見があれば、メールで意見をお寄せください。
ただし、全てのメールに私から返信できないことについては、ご理解ください。

市長 久元 喜造

市民向け文書のミスを根絶しよう(平成27年7月21日)
最近、メールを含め市民向けに発送する文書に内容や誤字などのミスがあり、報道されるケースが相次いでいます。各部署においては一回のミスでも、市役所全体として次々にこのようなミスが発生し、報道されると、市政への信頼を揺るがしかねない事態に陥る可能性があります。
内部向けの文書に比べ、市民に直接送付されるメールを含む文書は、一人ひとりの市民にとって大事な内容を有するものであり、市民向けの文書におけるミスは根絶させなければなりません。
管理職においては、市民向けの文書こそが極めて大事であるとの認識に立ち、責任ある対応をお願いします。また、それぞれの組織において、ダブルチェックや担当外の職員の目によるチェックも含め、具体的な改善をとっていただくよう強くお願いします。
平成27年度の初めに当たり職員のみなさんへ(平成27年4月1日)

今日から新しい年度が始まりました。
健康に留意し、お互いに助け合い、チームワークを十分発揮しながら、コンプライアンスを遵守し、市民の信託に応えていきましょう。
仕事と家庭、私生活の両立を図ることができるよう、力を合わせて取り組んでいきたいものです。

今日から神戸市職員になられたみなさんに対し、市役所を代表し、歓迎申し上げます。
私たちの組織を選ばれたみなさんが、職業人としての誇りを持って歩んでいくことが出来るよう、私も最善を尽くします。
新年度に異動されるみなさんには、一日も早く新たな職場に馴染み、これまでの経験によって培われた力を存分に発揮していただきたいと思います。
自らが属する組織の仕事のやり方、マネジメントのあり方を不断に見直し、満足感を持って仕事に取り組んでいくことができる環境をみんなでつくりあげていってください。
担当異動については、今年度から、みなさんのご協力のおかげで、2週間程度前倒しすることができました。組織としての力やチームワークを一日も早く発揮することができるよう、スピーディーで円滑な職務遂行をお願いします。

私が神戸市長に就任してから、約1年半近くになりました。
市役所での経験が少ない私にとり、これまで職員のみなさんから、それぞれの分野における市政の現状や課題、市民ニーズの動向についていろいろと教えていただいていることはありがたく、感謝しています。
今年度も、区役所をはじめ各現場でみなさんが取り組んでおられる仕事の内容について、出来る限り、具体的に教えていただきますよう、お願いいたします。

神戸市は、3年連続して人口が減少し、かつてのように都市の規模を追い求める時代ではなくなりました。
都市のグレードや生活の質をどう高めていくのかも含め、愛する神戸をどのような都市にしていくのか、みんなで率直に語り合い、将来ビジョンを創り上げていきましょう。
職員のみなさんにおかれましては、是非、自らの職務が神戸の都市の魅力に直結しているとの意識を新たにしていただき、先人から伝えられてきた進取の気風を存分に発揮していただきたいと思います。

神戸市財政は、みなさんのご努力とご苦労のお陰で、危機を脱することができましたが、財政の持続可能性を確保していくためには、引き続き、着実な行財政改革を進めていかなければなりません。
しかし、改革を進めるに当たり、後ろ向きの経費削減だけでは、かえって組織としてのパワーが落ちてしまいます。
意味のないルールは見直し、漫然と続けてきた仕事を止める勇気も必要です。そして、新しい政策課題に果敢にチャレンジしていきましょう。

私たちの職場は、いろいろな意味で明るくありたいものです。
一日を通して、一年を通して、明るく、風通しの良い職場環境をみんなでつくっていきましょう。
今年度も、どうぞよろしくお願い申し上げます。

平成27年の新年にあたり職員のみなさんへ(平成27年1月5日)

市長の久元です。
職員のみなさん、あけましておめでとうございます。
今年も、仕事と私生活のバランスを図り、健康に留意し、元気に仕事をしていきましょう。

新たな年のスタートにあたって、ひとつご報告です。
職員のみなさんにとって利便性の高い情報共有ツールを提供し、仕事が少しでもしやすくなるよう、これまでのイントラネットを改修し「神戸市庁内報 KOBEイントラネット」として立ち上げ、きょうから運用を始めました。
イントラネットの活用については、昨年行った職員アンケートでも特にご意見が多く、私としても出来るだけ早期に改修を進めるよう関係課にお願いしてきました。
関係職員のみなさんの努力に敬意を表します。

今回のリニューアルで、庁内で共有すべき様々な文書等が、イントラネット上に整理、見やすく配置されたほか、職員アンケートでの要望等をふまえて、新コーナーが設置されるなど、機能が拡充されています。

例えば、各種の事務処理規程やマニュアルが集約されていない、過去に発出された通達や通知文を探してもどこにあるかわからないというご意見があり、こうした標準マニュアルや通知文書等を一元管理できるように構築しています。

また、「譲ります・譲ってください」コーナーについては、「毎日E-mailが数通届き、関係のない職員にとっては重要なメールと混同する可能性がある。イントラネットに集約する方が適当ではないか」とのアンケートでのご意見をふまえ、メールでのやりとりに代えて新設したものです。

さらに、「市長の声、幹部の声」では、私や副市長をはじめ幹部からその時どきの雑感などをお伝えしていきたいと考えています。

職員のみなさんには、イントラネットを有効に活用し、コミュニケーションの深化と全庁内的な情報共有を通じた仕事の効率化につなげていただきたいと思います。また、かねてから懸案になっている印刷物の削減にも取り組んでください。

今回のリニューアルは、職員アンケートで頂いた提案を全て反映している訳ではありません。技術的な問題や運営上の問題などを考慮し、早期に実現可能なものからスタートしたもので、いわば、第1弾と位置づけています。
今後、利用実態等もふまえながら、職員のみなさんにとってより使い勝手の良いイントラネットへと進化させていきたいと考えています。

市役所改革に当たっては、みなさんの手で、市役所の仕事を改善していくことが大切です。そのためにも、みなさんの発意で、身近なところから事務改善に努めて頂きたいと思いますし、その際にもこの「神戸市庁内報 KOBEイントラネット」を十分活用頂きたいと思います。
市役所改革全体については、私自身、大きな問題意識を持って、職員のみなさんのご意見をよくお聞きしながら進めていきます。

それでは、本年もどうぞよろしくお願いいたします。

政策論議への積極的な参加を(平成26年8月21日)

8月も後半に入りました。
みなさん、夏季休暇を取得していますか。
ご家族と一緒に過ごしたり、趣味に没頭したり、心身をリフレッシュするなど有意義な時間を過ごしていただきたいと思います。

そのような時期に、台風11号や局地的豪雨への対応のため、2週連続して週末に全市防災指令を発令しました。災害対応のため出務され、また災害復旧に従事されたみなさん、本当にお疲れ様でした。

また、8月19日より、台風11号で被害を受けた山口県岩国市へ市職労のみなさんが被災地支援ボランティアを派遣されたことは、震災を経験した神戸が目指す、まさに「貢献する都市としての神戸」を実践されるものであり、このような被災地支援活動に敬意を表します。

私たちには、大規模災害への対応をはじめ様々な政策課題があります。
人口減少社会の中での神戸の未来像を描いていかなければなりません。
現在、神戸市は、東京23区を除けば、横浜、大阪、名古屋、札幌に次いで、全国で5番目の大都市ですが、早ければ2015年秋、遅くても2016年春には、神戸市と福岡市との人口が逆転する可能性が高いと考えられます。
私たちは、この事実としっかりと向き合い、持続的に成長する神戸のあるべき姿を考えていく必要があります。
神戸らしさを最大限に発揮し、居住都市としての質を高め「選ばれる都市」になるためには、中長期的視点をもった対応が求められます。

このため、今年度からは、職場における政策議論を促進するための取り組みを進めています。
一つは、政策会議(方向性協議型)の開催です。
次年度予算等に向けた重要な政策提案等を事前に集中的に議論する機会を設けました。
各局室区からは、合計170項目を超える提案があり、それぞれの職場で課題を共有しながら積極的に議論をされたことをうれしく思います。
8月20日から始まった政策会議では、まずは各局室区で選定された約50項目を中心に議論しますが、その他の項目も今後の予算編成作業の中で議論していくことになります。

二つ目は、予算編成手法の見直しです。
1月6日のメールでも書きましたが、予算にかける労力を減らしていく必要があります。
経常予算・政策予算の2段階編成から政策予算を中心とする一括編成への変更、予算編成作業の開始時期を後ろ倒しにするなど、予算要求・査定作業等の効率化を図り、より政策議論に重点を置いた予算編成をすすめていきます。

各職場においては、神戸の将来を担う若手職員のみなさんにも積極的に議論に参画していただきたいと思います。
政策課題に対する有効な政策提案を期待しています。
まだまだ暑い日が続きますが、健康にはくれぐれも留意していただき、力を合わせて頑張っていきましょう。
神戸市長 久元 喜造

神戸市長就任にあたって職員の皆さんへ(平成25年11月20日)

久元喜造です。
このたびの市長選挙において、市民のみなさんの信託をいただき、
本日より、神戸市長として市政を担わせていただくことになりました。
昨年の11月より約7か月間、副市長を務めさせていただきましたが、
ふたたび、みなさんと一緒に仕事ができることになり、
この上ない喜びを感じています。
生まれ育った神戸のために、そして、神戸市民の幸せのために
全身全霊を尽くすことをお誓いします。
神戸のために、神戸市民のために、一緒に汗をかいていきましょう。

◆歴史に学び、未来に引き継ぐ
神戸は素晴らしい都市です。同時に、試練を乗り越えてきた街です。
空襲による惨禍、阪神・淡路大震災、財政再建団体への転落危機 ―
これらの危機を、神戸市民は、手を携えて乗り越えてきました。
そしてそのような苦労の中に、いつも、神戸市政と職員の姿があったと思います。
とりわけ、阪神・淡路大震災への対応とその後の復旧・復興に当たっては、
現在、幹部・中堅職員として活躍されているみなさんには、
当時、筆舌に尽くせぬご苦労があったことと拝察します。
そして、あのときの経験と想いは、
その後に市役所に入ってこられた後輩のみなさんに、
しっかりと引き継がれているはずです。
長い市政の流れの中で、神戸市役所には、
日本を代表する自治体としての伝統が育まれてきたと思います。
そこには、普段意識されない「暗黙知」のようなものも
含まれると思います。
現在を生きる私たちが、今曲がりなりに仕事ができているのは、
先人の遺産のおかげです。
私たちは、承継されてきた遺産を、より豊かなものとし、
将来の世代に引き継いでいかなければなりません。
神戸市役所に属するであろう未来の見知らぬ人々が、
私たちが残したものを活用し、安んじて使命を果たしていけるように。
とりわけ、私は、半世紀以上にわたって神戸市政に貢献され、
3期12年、市長としての重責を果たされた
矢田前市長が、神戸と神戸市政に寄せてこられた想いを
しっかりと受け継がせていただきます。

◆「市政改革」について
伝統ある組織に求められるものは、歴史にしっかりと学びながら、
時代環境の変化に対応し、進化し続けていくことです。
私は、副市長の職を辞してから、市内をくまなく回り、
多くの市民のみなさんにお会いして、直接いろいろなお話を聞くことができました。
市政に対する厳しいご意見も多く、改革が求められていることを改めて感じました。
そのような市民のみなさんの声を踏まえ、このたびの施政方針の中で、
「5 本物の市政改革をすすめ新しい地方自治がはじまる街」
として、「市政改革」についても取り上げていますので、読んでみてください。

これらの内容は、職員のみなさんの理解と協力なくして実現することはできません。
これから、互いに対話を重ねながら、大いに議論を行い、
みんなが共有できる「市役所像」をつくりあげ、
その実現に向けて、努力していきましょう。
神戸市としての最終的な判断に対しては、私が責任をとりますが、
結論を導く過程では、各自が研究と思索を重ね、練り上げられた案をもとに、
互いに対等の立場で意見を述べ合い、徹底的に議論を重ね、
大いに談論風発していただくよう、お願いしたいと思います。
神戸が元気であるためには、神戸市役所が元気でなければなりません。
市役所が元気であるためには、職員のみなさん一人ひとりの元気が不可欠です。
互いに、健康に留意し、仕事と家庭、私生活の両立を図り、
いい仕事をしていきましょう。
まかり間違っても、パワハラやセクハラなどがあってはなりません。
そして理不尽な労務管理や職場慣行を追放しましょう。
もちろん、厳正な服務規律を確保していかなければなりません。
私は、反道徳的な行為や倫理にもとる行為を嫌悪します。
万が一にも、そのような行為があった場合には、厳正に対処します。

◆マネジメントの確立を
マネジメントという言葉を毛嫌いする人がいます。
確かに、マネジメント、あるいは管理という言葉には、
自由や個性の尊重とは逆方向のニュアンスがあります。
しかし、本来のマネジメントは違います。
マネジメントの改革・改善は、人事管理を強化し、
一人ひとりの自由な発想や行動を束縛しようということではありません。
むしろ逆です。
私も、フリーランスの職業人として立つのではなく、
組織に属するという道を選び、
長く、所属は異なるものの、公務員の組織に属して
社会人としての人生を歩んできました。
組織に帰属するということは、組織に人格のすべてを委ねたわけではありませんが、
自らの生き様が組織によって影響されることを、受け容れたということです。
私たち一人ひとりが高い満足度のもとに自らの力を発揮していけるかは、
組織のありように大きく関わっているといえます。
組織がしっかりしていれば、安心して仕事に専念でき、
そのことは私生活の充実にもつながります。
組織に、事無かれ主義、無責任、あるいは腐敗がはびこり、
マネジメントが崩壊していれば、日々不安におびえなければならず、
ときには大変な不幸が降りかかります。
組織のマネジメントがしっかりしていて初めて、
そこに属する構成員は、安んじて豊かな職業人生を送ることができます。
公務員の職場においては、組織のマネジメントに起因する問題を、
しばしば、特定の個人の責任を追求することで済ませたり、
個人の資質や能力、心構えの問題に還元したりする傾向が見られます。
そのような風潮は、悪しき精神主義の跋扈を招く恐れがあり、
何よりも、士気の低下をもたらします。
組織として、不断にマネジメントの改革・改善に取り組むことが大切です。
組織としてのマネジメントは、
文書管理、人事管理、組織管理、財務管理、情報管理、リスク管理などに
分けられようかと思いますが、
それぞれの分野について、職場の知恵を結集し、
不断の改革・改善に取り組んでいきましょう。
日常業務をこなしながらマネジメントの改革・改善を行うことは
大変かもしれません。
しかしそのような取り組みが、目に見える成果につながっていけば、
日常業務の負担を軽くし、勤務条件の改善、執務環境の向上にもつながると信じます。

◆後に続く人材を育てよう
神戸市政が組織として優れた仕事を行っていくためには、
優れた人材をリクルートし、最良の方法で育てていくことが不可欠です。
まず、大切なことは、リクルートの段階で、
神戸市政が求める人材のイメージを明確にすることです。
求める人材のイメージを曖昧にしたままで、
既製の試験問題で応募者を選抜し、
一般的な口頭試問で合格者を決めているようでは、
真に神戸市政が求める人材を集めることはできません。
まず、市長部局などの執行機関がどのような人材を必要としているのか、
組織の中でしっかりと議論を行い、イメージを明確にし、
そのイメージにふさわしい競争試験を人事委員会に求めていくことが必要です。
「人材イメージ」の明確化に当たっては、
大所高所から、神戸市政がどのような人材を求めているのかという視点に立ち、
政策課題を踏まえた知識・経験の内容を明確にすることが求められます。
同時に、入庁後の新規採用職員ともっとも関わりが深い、
係長など中間・若手職員のみなさんが、
新人に何を求めているのかを把握することが大切だと思います。
これらの点を含め、人材リクルートの方法を
見直していきたいと思いますので、ご協力をお願いいたします。
また、採用後の人材育成のやり方についても、いまのままでいいのか、
議論していきましょう。
人材育成の面では、職場での研修のほかに、市役所の外で経験を広げることも有益です。
また、職員研修所(職員人材開発センター)の研修についても、
改めて職員のみなさんの意見を幅広くお聞きして見直しを行うとともに、
職員のみなさんの自主的な研究への助成も考えていきたいと思います。

◆新たな政策展開とともに、「やめる勇気」を
神戸が、その持てる可能性を生かし、「安定した成長軌道」を描いていくためには、
新たな政策課題に果敢にチャレンジしていくことが必要です。
アンテナを高く張り、さまざまな分野の市民のみなさんと知恵を出しあい、
目的との関連でもっとも合理的な政策を練り上げ、
迅速に実行に移していきましょう。
同時に、人口減少時代を見据えると、これまでの仕事を果敢に見直し、
時代に合っていない事務・事業を廃止・縮小していくことも非常に重要です。
「やめる勇気」を持たなければなりません。
直接、予算の削減につながらない場合であっても、
また、どんなささいな事務・事業であっても、
「やめる勇気」を歓迎します。
くれぐれもよろしくお願いいたします。

◆メンバーの顔が見えるチームをつくろう
公務職場においては、組織を構成する一般職の公務員には、
匿名性が求められることも事実です。
一人ひとりの仕事は、最終的には、市役所全体、あるいは、市長の
名前と責任で外部に示されるからです。
しかしこのことは、職員のみなさん一人ひとりに対して、
顔も名前も出さずに、ひたすら匿名で仕事をすることを
求めるものではないと思います。
是非、それぞれの仕事を、実名で市民のみなさんに語ってください。
メディアにも、実名で登場し、ご自身の仕事を大いにPRしてください。
もちろん、仕事や研究の成果を、著作や論文で公表されることも
結構だと思います。
それぞれのお考えのもとに、「顔の見える職員」として行動していただくことを
希望します。
このようにして、お互いのメンバーの顔が見える、
「最強の仕事人チーム」をつくっていきましょう。

今日からみなさんとともに、元気でにぎわいのあるまち神戸をめざして、
新しい神戸市政をすすめていきたいと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。

総務省勤務時代のメール

年度の初めに当たり、自治行政局のみなさんへ
(行政課、住民制度課、市町村体制整備課、総務室関係)(平成24年4月1日)

自治行政局長の久元です。
きょうから新しい年度が始まりました。
健康に留意し、互いに助け合い、
仕事と家庭、私生活の両立を図りながら、
社会的使命を果たしていきましょう。

私たちの局に来られた皆さんに対し、歓迎を申し上げます。
初めて総務省に来られたみなさん、初めて自治行政局に来られたみなさんには、
初めは戸惑うことも多いかもしれませんが、
どんなことでも、周囲の者、あるいは主幹に訊いていただき、
早く職場に慣れていただくよう希望します。
それぞれの自治体に奉職されて総務省に来られたみなさんには、
自らの自治体が置かれている状況、
とりわけ私たちの局の仕事と関連する分野の現状や課題について、
率直に語っていただくようお願いいたします。
また、総務省から自治体に出向されていた皆さんも、
自らの経験を是非私たちに伝えてください。
総務省に奉職したみなさんの中には、自治体に勤務した経験を
持っておられる方も多いと思いますが、
自治体が置かれている状況は多様であり、
自らの経験を一般化することには慎重でなければなりません。
みんながそれぞれ異なる経験を持ち寄って、率直に情報交換を行い、
対話を通じて現状認識を深め、それらを仕事に反映していきましょう。

東日本大震災の被災地域、原発周辺地域においては、
自治体のみなさんが困難な現実と今なお格闘しています。
引き続き的確な情報収集を行い、必要な対応を
迅速に行っていきましょう。
東日本大震災への対応の中で得られた教訓のひとつは、
自治体行政の実務を軽視した国の対応は、
それが個別の指示や助言であれ、新たな制度の創設であれ、
無意味であり、有害であるということです。
実務の軽視が失敗を招くことは自明であるにもかかわらず、
霞ヶ関はこれまで数々の過ちを犯してきました。
私は地方公務員の年金など共済制度を担当したことがありますが、
制度改正の複雑怪奇な内容に驚いたものです。
それらは厚生年金制度をおおむねなぞったものでしたが、
このように複雑な制度が的確に運用できるのかについて、
年金局が社会保険庁と十分な協議を行ったのか、はなはだ疑問でした。
社会保険庁の緩慢な仕事ぶりは以前から知られていましたが、
その後明らかになった「消えた年金」などの実態は、
想像を絶する悲惨なものでした。
このような事象が起きた背景には、
社会保険庁のずさんなマネジメントだけではなく、
実務が回るかどうかの検証を十分行わず、
机上の論理や政治の意向に偏った制度改正が
繰り返されてきたという側面がなかったとは言い切れないでしょう。

国地方関係は、国=企画・立案、地方=実施 と
とらえるべきでないことはいうまでもありませんが、
私たちの制度改正や助言のありようが、
自治体の仕事に大きな影響を与えることは間違いありません。
私たちの局の仕事を進めていく上でも、
自治体の実務、そして私たちの事務処理が円滑に回るのかどうかについて、
注意深い考察をしていくことが不可欠だと考えます。

さて私たちの局は、内政のインフラともいうべき
重要な諸制度に責任を持っていますが、
地方自治制度、住民基本台帳制度、選挙制度、地方公務員制度とも、
転換点を迎えています。

政権交代後におけるさまざまな議論や経過を経て、
地方自治法の改正案が3月9日に閣議決定されました。
この改正には、違法確認訴訟、臨時会の招集、専決処分などについて
これまで長く論議されながら具体化されなかった
多くの重要な事項が含まれています。
また、地方制度調査会では、これから大都市制度のあり方について
議論が本格化します。
大都市制度改革の議論は、大都市圏を中心とする
市町村のあり方にも広く及んでいくことでしょう。

地方自治法施行から60有余年を経て、
地方自治法がこの間の変化に十分対応できていない側面があることは否定できません。
大都市制度のほか、直接請求、監査制度、財務、住民訴訟など
制度の見直しが求められる分野は多岐にわたり、改革が求められています。
同時に、長い経過を経て我が国に定着している地方自治制度には、
社会全体における安定装置としての機能と
多くの暗黙知が含まれています。
制度改正の検討に当たっては、変えること自体を自己目的化することなく、
制度の本質を見極め、歴史に学び、
曇りのない目で現実を見つめる姿勢が求められます。
合理的な分担のもとに効率的な作業体制を整え、
局内での連絡調整を密にして、地方制度調査会など各方面での
高度な議論に耐えうる選択肢を用意していきましょう。

社会保障・税番号関連法案が2月14日に閣議決定されました。
社会保障・税番号は、国民生活を大きく変え、
行政の効率化を飛躍的に進める可能性を秘めています。
自治体は、番号制度においても大きな役割を果たすわけで、
総務省の使命にも大きなものがあります。

番号制度においては、住基ネットが全面的に活用されます。
振り返れば、旧自治省が住基ネットの構想を報告書の形で
発表したのは平成6年のことでした。
嵐の中の船出でした
ある新聞は社説の中で、
「自治省という役所は何と暇な役所なのだろう」
と辛辣に批判しました。
その後の住基ネットの歩みは平坦ではなかったと申し上げて良いでしょう。
多くの批判や反対に遭いながら、旧振興課、旧市町村課の諸先輩は、
住基ネットの法制化、システムの構築を図り、
自治体と社会の理解を得るべく努力を重ねてこられました。
住基ネットが番号制度を下支えする形で制度設計されたのは、
先人の努力の上に、住基ネットが関係者の手によって安全な運用が行われ、
各方面の信頼を得てきた結果です。
番号制度の立案に当たっては、住民制度課をはじめ関係のみなさんには
たいへんなご苦労があったことと存じます。
関連法案の成立を期し、番号制度が社会全体にとって
真に有用なものとなるよう、全力で取り組んでいきましょう。

ほかにも、行政改革への対応など重要な課題が数多くありますが、
これらの課題にしっかりと取り組んでいく上で大切なことは、
自由闊達に議論を闘わせることだと思います。
最終的な判断を下すのは政治の責任ですが、
理論と実務の両面からきちんとした検討を行い、
明確な選択肢を用意していくことは、私たちの重要な役割です。
各自が研究と思索を重ね、対等の立場で意見を述べ合い、
徹底的に議論を重ね、大いに談論風発していただくよう、
お願いしたいと思います。
初めて私たちの局に来られた方、まだ経験が短い方も
遠慮せずに、自らの考えや疑問点をおっしゃってください。
議論の中で素朴な疑問が自然に発せられ、
前から居る者が静かに耳を傾けることは、
適切な結論を得る上で不可欠の条件だと思います。

最後に、いつも申し上げているのですが、
係は係としての、室は室としての、課は課としての、
局は局としてのマネジメントを
しっかりとやっていくことを、お願いしたいと思います。
マネジメントの改革・改善は、人事管理を強化し、
ひとりひとりの自由な発想や行動を
束縛しようということではありません。
むしろ逆です。
組織に属して生きることを選択した私たちは、
組織がしっかりとしていてはじめて、安心して日々を送ることができます。
文書管理、組織管理、財務管理、情報管理、リスク管理などの
マネジメント水準を不断に向上させる取り組みを行っていきましょう。
超過勤務の縮減や無駄の削減がよく言われますが、
トータルなマネジメント改革を伴わない取り組みは、
歪みを生むだけの結果に終わりかねません。
リスク管理も重要です。とくに管理職は、リスク分析を不断に行うとともに、
予期せぬ事態が出来したときも、的確に対応できる態勢を整えておくことが大切です。
東日本大震災に際し、私たちの局の対応が
十分なものであったかどうかについては検証が必要ですが、
少なくとも、うろたえるようなことがなかったのは、
普段から予期せぬ事態への対応について
局内で議論してきた成果だったと思います。
リスク管理も含め、マネジメント水準の向上のために何をすればよいか、
積極的に職場討議を深めていっていただくことを期待します。
この点については、平成21年4月1日のメールがどこかに残っていれば、
参照していただければ幸いです。

私たちひとりひとりが与えられた任務を全うする上からも、
みんなが元気で仕事ができることが大切です。
体調管理には十分気を配ってください。
管理職のみなさんは、それぞれの職員に割り振られた仕事の状況が
職員の肉体的・精神的負担との間でバランスがとれているかどうか、
常に心がけていただくようお願いします。
私も局の責任者として全力を尽くします。
よろしくお願い申し上げます。

年度の初めに当たり、自治行政局のみなさんへ
(行政課、住民制度課、市町村体制整備課、総務室関係)(平成23年4月1日)

自治行政局長の久元です。
日頃の御奮闘に感謝申し上げます。
また、このほど私たちの局に来られたみなさんに、
歓迎の意を表します。
健康に留意し、互いに助け合い、
仕事と家庭、私生活の両立を図りながら、
社会的使命を果たしていきましょう。

昨年、一昨年と、年度初めの4月1日に、
私たちの局が抱えている課題について記しましたが、
今年は残念ながらその余裕がありません。
3月11日以来、私たちの局も全力で災害対応を行っており、
戦後最大の国難に立ち向かうことを何よりも
優先しなければならないからです。

今回の災害では、多くの自治体のみなさんが生命を失い、
いまだ行方不明になっています。
報道によれば、最後まで防災無線で避難を呼びかけ続け、
津波にさらわれた若い女性職員がいます。
寝たきりの患者を救出している最中に津波にのみ込まれた
公立病院の看護師さんがいます。
そして、今も、厳しい環境の中で、たくさんの自治体のみなさんが
困難な仕事に立ち向かっています。

総務省自治部局の課題は多岐にわたりますが、
その使命の基本は、自治体のみなさんとともに、
今回の災害対応を私たち自身の問題として
全力で取り組むことです。
そして、日夜困難と立ち向かっておられる自治体の
長、議員、職員のみなさんの苦労を分かち合い、
その苦痛を和らげることです。

私たちの局は、自治体の災害対応に関わる制度を
幅広く担当しています。
自治体が実施責任を負う各府省の仕事にも関わりを持っています。
私たちが少しでも多くの知恵を出し、工夫をし、
気遣いをすれば、自治体の対応は前に進み、
また、多くの自治体のみなさんの仕事を
少しでも楽にすることができます。
どんなときでも、おざなりの対応をすることなく、
ベストの仕事をしていきましょう。

私たちひとりひとりがこのような任務を全うする上からも、
みんなが元気で仕事ができることが大切です。
体調管理には十分気を配ってください。
管理職のみなさんは、それぞれの職員に割り振られた仕事の状況と
職員の肉体的・精神的負担とのバランスがとれているかどうか、
常に心がけていただくようお願いします。
私も局の責任者として全力を尽くします。
よろしくお願い申し上げます。

年の初めに当たり、自治行政局のみなさんへ
(行政課、総務室、住民制度課、市町村体制整備課関係)(平成23年1月4日)

自治行政局長の久元です。
新年おめでとうございます。
今年も健康に留意し、仕事と家庭、私生活の両立を図り、
いい仕事をしていきましょう。

今年度初め、昨年4月1日のメールでは、
地方自治法の抜本改正、社会保障・税に関わる番号制度など
私たちの局が今年度に取り組むべき課題について取り上げました。
おかげさまで、昨年は、この二つの課題を含め、
着実な成果を挙げることができました。
それぞれ語り尽くせぬいろいろなご苦労があったこと想像します。
みなさんのご奮闘に改めて心より感謝申し上げます。
今年も、これまでの方針に沿い、しっかりと取り組んでいきましょう。

昨年は、政治動向に影響される事項を除けば、
おおむね予定していた道筋で仕事を進めることができました。
そのような中にあって、想定外の対応を迫られた仕事が、
いわゆる高齢者所在不明問題でした。
世間に大きな衝撃を与えた出来事のひとつでした。
高齢者所在不明問題が明るみに出たとき、その背景に、
日本社会全体の構造的な変化があることは明瞭でした。
そのような社会の変化は、最近突然起きたのではなく、
明治以来長い年月をかけて生起してきたものでした。
そして、時代が下るにつれて速度を速め、
ネット社会と仮想現実化によって加速してきたのです。
2009年1月号、月刊「地方自治」の拙稿でも書きましたが、
近代日本の生成は、伝統に縛られていた人欲の解放過程であり、
地域共同体と大家族社会が解体していく過程でもありました。
その行き着いたところに、現代の日本社会があります。
そして伝統的な共同体機能の衰退を補完し、
セイフティネットの役割を果たきたのが、カイシャでした。
しかし、終身雇用の崩壊により、カイシャのセイフティネットは弱体化し、
多くの人々は無援のまま孤立するようになりました。
バラバラになってしまった個人が、お互いに顔や名前も知ることなく
存在している現象が地域に広がっていきました。
そのような中にあって、行政が個人の実在を確認することには、
著しい困難を伴うようになりました。
行政が個々の住民の所在を正確に把握できにくくなっているということは、
関係者の間ではすでに知られていたことでした。

このように高齢者所在不明問題が表面化したとき、
この問題の背景には、家族の変容、地域共同体の解体と、
それらを補完してきたカイシャの衰弱という
根深い要因があることは自明でした。
そうである以上、自治体だけの力で、
ましてや戸籍や住民基本台帳の担当部局だけの力で、
この問題に対応できないこともはっきりしていました。
問題の所在や全体像が国民に見えていない段階で、
住民基本台帳制度を所管する立場から、この問題の解決に向けた、
何らかの対応が出来るかのような姿勢を示すことは、
国民に幻想を与えるだけであり、
制度を担当する立場としてむしろ不誠実であると考えました。
住民制度課には、このことを前提として、
過剰に反応することなく対応するようにお願いしました。

その後、行政の努力、メディアの取材により、
私たちの社会に何が起きているのかについて、
少しずつ明らかになってきました。
そして、市町村の市民課、住民課や、
総務省や厚生労働省を非難しているだけでは解決にはつながらないことも、
多くの国民が認識するようになりました。
「無縁社会」(NHK)、「孤族の国」(朝日新聞)などと表現される社会の闇は、
近代日本が行き着いたアポリアであるだけに、
解決への道筋は容易ではありません。

はっきりしていることは、人はひとりで生きることはできないということです。
誰にも頼ることが出来ず、社会に背を向けながら助けを待っている人々に
どのように手をさしのべるのか ―
このことは、我が国の内政における
重要かつ困難な課題のひとつと言ってさしつかえありません。
自治体に大きな役割が期待されることは当然です。
自治体は、バラバラになってしまった地域共同体を再生させ、
人が孤独のうちに苦しんだり、
ましてや誰にも看取られることなく死んでいくことがないような
地域社会をつくりあげていくという
難しい仕事に向き合っていかなければなりません。
そして国は、自治体がそのような役割を
しっかり果たすことが出来るような制度を用意していく責任があります。

自治行政局は、地方自治制度、住民基本台帳制度、選挙制度、
地方公務員制度、地域振興に関する諸制度を担当しています。
私たちは、そのような立場から、制度と運用の両面で
何ができるのか考えていきたいと思います。
個々の住民の顔が見えるようなコミュニティの再生のために、
コミュニティの再生に結びつくような域内分権のために、
何ができるのかを考えていくことが求められます。
さらに、地方自治制度改革においては、
抽象的な制度論に終始するのではなく、
我が国の地域社会で進行している根深い変化を冷静に分析し、
それらを十分に踏まえる必要があります。(注)
もちろん、市町村が住所の正確な把握を円滑に進められるよう、
住民基本台帳制度で改善すべき点はないかについても
検討が求められます。
私たちの局は、困難ではあるけれども、
とても大きな、そして大切な仕事をしているのではないでしょうか。

ほかにも重要な課題がありますが、方向性が求められるテーマについては、
ときどきフリーディスカッション局議を開き、
課室の垣根を越えて議論していきましょう。
結論を導く過程においては、是非、所掌や職位にとらわれず、
自由闊達に議論を闘わせてください。
自治行政局に来て日が浅い方は、長くいる人間の前では
なかなかものが言いにくいかもしれません。
しかし、長く経験している者だけで議論していると、
世間の常識からずれていきがちなことは、
どこの世界でも同じです。
私も自治行政局は少々長くなりましたが、
そのことを自戒していきたいと思います。
議論を聞いていて、疑問に思うこと、
おかしい、ずれていると感じること
過去の経験に拘泥した思い込みや
単なる思いつきとしか思えないようなこと・・・
そのようなことがあれば、遠慮なく声を上げてほしいのです。
それぞれの課室においても、自由闊達な議論を期待します。

最後に、いつもお願いしていることですが、
係は係としての、課室は課室としての、
局は局としてのマネジメントをしっかりやっていきましょう。
マネジメントの改革・改善は、人事管理を強化し、
ひとりひとりの自由な発想や行動を
束縛しようということではありません。
むしろ逆です。
組織に属して生きることを選択したわれわれは、
組織がしっかりとしていてはじめて、安心して日々を送ることができます。
文書管理、組織管理、財務管理、情報管理、リスク管理などの
マネジメント水準を不断に向上させ、リスクを極小化するとともに、
予期せぬ事態が出来したときにうろたえることがないようにしましょう。
そのために何をすればよいか、積極的に職場討議を
深めていっていただくことを期待します。

今年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

年度の初めに当たり、自治行政局のみなさんへ
(行政課、住民制度課、市町村体制整備課、総務室関係)(平成22年4月1日)
自治行政局長の久元です。
日頃の御奮闘に感謝申し上げます。
また、このほど私たちの局に来られたみなさんに、歓迎の意を表します。
健康に留意し、互いに助け合い、仕事と家庭、私生活の両立を図りながら、社会的使命を果たしていきましょう。

この4月から局内の課室の編成が変わりました。
今回の組織編成は、「平成の合併」に一区切りをつけ、
新しい観点を入れながら市町村の行財政基盤の強化を図るとされたことに伴い、
総務省がより効果的にその役割を果たしていくことをねらいとしています。
「平成の合併」には、多くの諸先輩が関わり、苦労を重ねられました。
合併に関わった市町村における長をはじめ職員のみなさんのご労苦には、
筆舌に尽くせないものがあったと思います。
私たちは、そのような先人の努力や苦労を
忘れるようなことがあってはなりません。
合併の評価には一定の期間を要すると考えられますが、
合併を選択した市町村が地域づくりにしっかりと取り組んでいけるよう、
今後とも関心を持って見守り、約束した支援を確実に行い、
また所掌を超えて何が出来るかを考え、
実行に移していくことが求められると思います。

私たちの局は、内政のインフラともいうべき
重要な諸制度に責任を持っていますが、
地方自治制度、住民基本台帳制度とも、大きな転換点を迎えています。

大臣の指示で昨年から地方自治法の抜本改正について議論が始まり、
今年1月には地方行財政検討会議が設置されて検討が本格化しました。
成案が得られたものについては来年の通常国会に
地方自治法の改正案として提出することとされており、
抜本的な見直し作業は、今年度いよいよ正念場を迎えます。

憲法と同日に施行された地方自治法は、
我が国の民主化の象徴とされていますが、
実質的には市制町村制など戦前の法律の全部改正でした。
結果として、明治期に淵源を有する多くの規定が残され、
それらは改正を経ながらも今日まで引き継がれています。
終戦直後の混乱期、占領下での立法作業は
想像を絶する困難を伴ったと推察でき、
立法事実の検証やほかの選択肢との比較検討などの面で、
大きな制約や限界があったことも確かであろうと思われます。
また、地方自治法施行から60有余年を経て、
この間の経済社会の変貌は著しいものがあります。
これまでいくつかの重要な改正が行われてきたとはいえ、
我が国の社会のありよう、地域社会や地方自治体が
置かれている状況などからみて、現行法が
この間の変化に対応できていない側面があることは否定できません。
このように考えれば、地方自治法の抜本改正は、
いつかは実現が求められてきたのであり、
今回の取り組みは、いわば歴史的な必然であると言えます。
同時に、長い経過を経て我が国に定着している地方自治制度には、
社会全体における安定装置としての機能と
多くの暗黙知が含まれています。
抜本的な制度改正に当たっては、変えること自体を自己目的化することなく、
制度の本質を見極め、歴史に学び、曇りのない目で
現実を見つめる姿勢が求められます。
検討項目は多岐にわたり、ひとつひとつが大きなテーマであり、
相互に関連しています。
合理的な分担のもとに効率的な作業体制を整え、
局内での連絡調整を密にして、地方行財政検討会議での
高度な議論に耐えうる選択肢を用意していきましょう。

住基ネットを含む住民基本台帳制度も
今年度は重要な転換点となりそうです。
振り返れば、旧自治省が住基ネットの構想を報告書の形で
発表したのは平成6年のことでした。
ある新聞は社説の中で、
「自治省という役所は何と暇な役所なのだろう」
と辛辣に批判しました。
多くの批判や反対に遭いながら、
旧振興課、旧市町村課の諸先輩は、
住基ネットの法制化、システムの構築を図り、
自治体と社会の理解を得るべく努力を重ねてこられました。
そのような努力の上に、住基ネットの利用対象は拡大し、
関係者の手で安全な運用が行われてきました。

今年度は、住基ネットについて新たな展開が予想されます。
内閣全体として社会保障・税に関わる番号制度の検討が本格化し、
一定の方向性が打ち出されると見られ、
住基ネットは、このような動向に大きく関わっていくと考えられるからです。
番号制度の動きをよく見極めながら、原口5原則を踏まえ、
これまで受けてきた批判や懸念を解消していくような見直しが求められます。
制度面とシステム面が絡み合ったむずかしい課題ですが、
アンテナを高くし、未知の分野の研究を深め、
住基ネットが我が国社会にとり一層有用なものとなるよう、
しっかりと取り組んでいきましょう。

ほかにも重要な課題がありますが、これらの課題に
しっかりと取り組んでいく上で大切なことは、
自由闊達に議論を闘わせることだと思います。
われわれが取り組もうとする改革は、地方自治体の運営のみならず、
社会全体に大きな影響を与えます。
最終的な判断を下すのは政治の責任ですが、
理論と実務の両面からきちんとした検討を行い、
明確な選択肢を用意していくことは、私たちの重要な役割です。
各自が研究と思索を重ね、練り上げられた案をもとに、
互いに対等の立場で意見を述べ合い、徹底的に議論を重ね、
大いに談論風発していただくよう、お願いしたいと思います。
地方自治体に採用され、これまで自治体で研鑽を積んでこられて
私たちの仲間に加わっていただいているみなさんには、
それぞれの自治体が置かれている現状を率直に語っていただき、
積極的に議論に加わっていただくことを期待します。

最後に、組織としてのマネジメントの重要性についてです。
係は係としての、室は室としての、課は課としての、
局は局としてのマネジメントを
しっかりとやっていくことを、お願いしたいと思います。
マネジメントの改革・改善は、人事管理を強化し、
ひとりひとりの自由な発想や行動を束縛しようということではありません。
むしろ逆です。
組織に属して生きることを選択したわれわれは、
組織がしっかりとしていてはじめて、安心して日々を送ることができます。
文書管理、組織管理、財務管理、情報管理、リスク管理などの
マネジメント水準を不断に向上させ、リスクを極小化するとともに、
予期せぬ事態が出来したときにうろたえることがないようにしましょう。
そのために何をすればよいか、積極的に職場討議を
深めていっていただくことを期待します。
この点については、昨年4月1日のメールがどこかに残っていれば、
参照していただければ幸いです。
私も局の責任者として全力を尽くします。

よろしくお願い申し上げます。

自治行政局のみなさんへ(行政課、市町村課、合併推進課関係)(平成21年4月1日)
自治行政局長の久元です。
日頃の御奮闘に感謝申し上げます。
また、このほど私たちの局に来られたみなさんに、歓迎の意を表します。
健康に留意し、互いに助け合い、仕事と家庭、私生活の両立を図りながら、社会的使命を果たしていきましょう。

この4月から局内の課室の編成が変わりました。
今回の組織編成は、「平成の合併」に一区切りをつけ、
新しい観点を入れながら市町村の行財政基盤の強化を図るとされたことに伴い、
総務省がより効果的にその役割を果たしていくことをねらいとしています。
「平成の合併」には、多くの諸先輩が関わり、苦労を重ねられました。
合併に関わった市町村における長をはじめ職員のみなさんのご労苦には、
筆舌に尽くせないものがあったと思います。
私たちは、そのような先人の努力や苦労を
忘れるようなことがあってはなりません。
合併の評価には一定の期間を要すると考えられますが、
合併を選択した市町村が地域づくりにしっかりと取り組んでいけるよう、
今後とも関心を持って見守り、約束した支援を確実に行い、
また所掌を超えて何が出来るかを考え、
実行に移していくことが求められると思います。

私たちの局は、内政のインフラともいうべき
重要な諸制度に責任を持っていますが、
地方自治制度、住民基本台帳制度とも、大きな転換点を迎えています。

大臣の指示で昨年から地方自治法の抜本改正について議論が始まり、
今年1月には地方行財政検討会議が設置されて検討が本格化しました。
成案が得られたものについては来年の通常国会に
地方自治法の改正案として提出することとされており、
抜本的な見直し作業は、今年度いよいよ正念場を迎えます。

憲法と同日に施行された地方自治法は、
我が国の民主化の象徴とされていますが、
実質的には市制町村制など戦前の法律の全部改正でした。
結果として、明治期に淵源を有する多くの規定が残され、
それらは改正を経ながらも今日まで引き継がれています。
終戦直後の混乱期、占領下での立法作業は
想像を絶する困難を伴ったと推察でき、
立法事実の検証やほかの選択肢との比較検討などの面で、
大きな制約や限界があったことも確かであろうと思われます。
また、地方自治法施行から60有余年を経て、
この間の経済社会の変貌は著しいものがあります。
これまでいくつかの重要な改正が行われてきたとはいえ、
我が国の社会のありよう、地域社会や地方自治体が
置かれている状況などからみて、現行法が
この間の変化に対応できていない側面があることは否定できません。
このように考えれば、地方自治法の抜本改正は、
いつかは実現が求められてきたのであり、
今回の取り組みは、いわば歴史的な必然であると言えます。
同時に、長い経過を経て我が国に定着している地方自治制度には、
社会全体における安定装置としての機能と
多くの暗黙知が含まれています。
抜本的な制度改正に当たっては、変えること自体を自己目的化することなく、
制度の本質を見極め、歴史に学び、曇りのない目で
現実を見つめる姿勢が求められます。
検討項目は多岐にわたり、ひとつひとつが大きなテーマであり、
相互に関連しています。
合理的な分担のもとに効率的な作業体制を整え、
局内での連絡調整を密にして、地方行財政検討会議での
高度な議論に耐えうる選択肢を用意していきましょう。

住基ネットを含む住民基本台帳制度も
今年度は重要な転換点となりそうです。
振り返れば、旧自治省が住基ネットの構想を報告書の形で
発表したのは平成6年のことでした。
ある新聞は社説の中で、
「自治省という役所は何と暇な役所なのだろう」
と辛辣に批判しました。
多くの批判や反対に遭いながら、
旧振興課、旧市町村課の諸先輩は、
住基ネットの法制化、システムの構築を図り、
自治体と社会の理解を得るべく努力を重ねてこられました。
そのような努力の上に、住基ネットの利用対象は拡大し、
関係者の手で安全な運用が行われてきました。

今年度は、住基ネットについて新たな展開が予想されます。
内閣全体として社会保障・税に関わる番号制度の検討が本格化し、
一定の方向性が打ち出されると見られ、
住基ネットは、このような動向に大きく関わっていくと考えられるからです。
番号制度の動きをよく見極めながら、原口5原則を踏まえ、
これまで受けてきた批判や懸念を解消していくような見直しが求められます。
制度面とシステム面が絡み合ったむずかしい課題ですが、
アンテナを高くし、未知の分野の研究を深め、
住基ネットが我が国社会にとり一層有用なものとなるよう、
しっかりと取り組んでいきましょう。

ほかにも重要な課題がありますが、これらの課題に
しっかりと取り組んでいく上で大切なことは、
自由闊達に議論を闘わせることだと思います。
われわれが取り組もうとする改革は、地方自治体の運営のみならず、
社会全体に大きな影響を与えます。
最終的な判断を下すのは政治の責任ですが、
理論と実務の両面からきちんとした検討を行い、
明確な選択肢を用意していくことは、私たちの重要な役割です。
各自が研究と思索を重ね、練り上げられた案をもとに、
互いに対等の立場で意見を述べ合い、徹底的に議論を重ね、
大いに談論風発していただくよう、お願いしたいと思います。
地方自治体に採用され、これまで自治体で研鑽を積んでこられて
私たちの仲間に加わっていただいているみなさんには、
それぞれの自治体が置かれている現状を率直に語っていただき、
積極的に議論に加わっていただくことを期待します。

最後に、組織としてのマネジメントの重要性についてです。
係は係としての、室は室としての、課は課としての、
局は局としてのマネジメントを
しっかりとやっていくことを、お願いしたいと思います。
マネジメントの改革・改善は、人事管理を強化し、
ひとりひとりの自由な発想や行動を束縛しようということではありません。
むしろ逆です。
組織に属して生きることを選択したわれわれは、
組織がしっかりとしていてはじめて、安心して日々を送ることができます。
文書管理、組織管理、財務管理、情報管理、リスク管理などの
マネジメント水準を不断に向上させ、リスクを極小化するとともに、
予期せぬ事態が出来したときにうろたえることがないようにしましょう。
そのために何をすればよいか、積極的に職場討議を
深めていっていただくことを期待します。
この点については、昨年4月1日のメールがどこかに残っていれば、
参照していただければ幸いです。
私も局の責任者として全力を尽くします。

よろしくお願い申し上げます。

選挙部のみなさんへ(平成19年7月23日)
日頃のご精励に感謝申し上げます。
防衛省、厚生労働省の事件が霞ヶ関に対する新たな不信を増幅させていることは、ご高承のとおりです。このような状況にかんがみ、総理から各閣僚に対し、「緊張感を持って仕事に当たるように」との指示があり、選挙課長からは、昨日、官房各局等連絡会議が開かれ、一連の指示があったと報告を受けています。
この会議では、総理からの指示の趣旨を省内に徹底させるようとの大臣からの指示を受け、官房からは、併せて、厚生労働省におけるC型肝炎事件に照らし、適正な文章管理を徹底するよう指示があったと聞いています。
この文書管理のあり方については、以前から自分なりに考え、苦悶してきたところであり、選挙部に着任してからも、折に触れてその改善をお願いしてきたところですので、改めて自分の問題意識をお伝えしておきたいと思います。

C型肝炎問題がここまで指弾されている背景には、さまざまな要因があると思われますが、その要因のひとつに厚生労働省における杜撰な文書管理があることは明らかです。厚生省における文書管理のひどさは薬害エイズ事件のときにも問題となりましたが、報道に接する限り、厚生労働省に組織改編後も、抜本的な改善が図られてこなかったように見受けられます。

私たちは、今回の事件を対岸の火事として眺めるのではなく、改めて自分たちの問題として捉え、自ら改善を図る契機とすべきではないかと考えます。
部内の文書管理の詳細には接していませんが、一見する限り、また、断片的にお話をお伺いする限り、決して満足すべき現状にはないと考えられるからです。
自分の経験に照らせば、総務省(少なくとも旧自治部局)の文書管理の状況は、自分がかつて勤務したどの地方公共団体よりも劣悪です。選挙部の現状は、自分の限られた経験では、他の部局と比べて良好ではあると思いますが、決して満足すべき状況にあるとは考えられません。

文書は私たちが任務を遂行していく上で最も基本的かつ重要なインフラでです。もしも適正な文書管理が行われていない現状があるとするならば、それは組織としてかなり致命的な欠陥を内在していることを意味すると思われます。

まず、適正な職務執行を確保する上で、文書の系統的かつ適正な管理は不可欠であり、不適正な文書管理は、不適正な職務執行が行われていることを推認させます。厚生労働省のように、あるはずの文書がなかったり、ないはずの文書が急に見つかったりすることは、組織として致命的であり、厳しい批判にさらされることを覚悟する必要があります。
また、文書は、組織としての知的系譜であり、貴重な財産です。とりわけ制度官庁においては、過去の文書を正しく継承し、私たちの代の経験を付け加えて将来に引き継いでいくことは、いつの時代にあっても制度を所管する任務を全うして行く上で不可欠です。
保存年限が定められている公文書以外の資料、文献等も、そのような財産に含まれます。私たちが曲がりなりにも仕事ができているのは、先人の知識・経験が遺されているおかげであり、私たちは、そのような役割を将来の世代に対して負っていると思います。
とりわけ古い貴重な文献、資料等は適切にメインテナンスされなければなりません。ときどき、変色した古い資料を押し広げてコピーしている若手も見受けられますが、貴重な資料が毀損されることになれば、それは文化遺産の破壊であり、タリバンまがいの蛮行と心得るべきです
また、文書、資料等が乱雑に放置されていることは、仕事の引き継ぎにも支障を来すことでしょう。私も若い頃、新しい職場に赴任したときには文書の所在がわからなくて泣いたものでした。とくに前任が地方赴任となる場合などは満足な引き継ぎをしてもらえず、いざ着任してみると、文書や資料がどこにあるのかわからず途方に暮れ、何度も前任に確認することが多かったことを思い起こします。
このような状況は改善されているのでしょうか。
もしそのような状況がいまだあるとすれば、それは、はなはだ非効率であるし、若手職員のストレスを招いていることでしょう。
選挙部の仕事に対する各方面からの関心は高く、最近も、官房総括審議官、公明党国会議員幹部の視察も行われました。今後もこのような視察があることも想定されます。
一見して乱雑な文書の保管状態がさらされることは、厚生労働省と同類であるかのような誤解を与えます。倉庫についても、外部からの視察が入ることを想定しなければなりません。
 
それでは、文書管理について、どのような方向を目指し、どのような方法で、改善を図っていくべきでしょうか。
このことは、みなさんひとりひとりによく考えていただきたいと思いますが、自分なりの考え方を記しておきたいと思います。
まず、文書は、定められた分類基準に基づき、系統的に整理・保存・破棄されなければなりません。この当たり前の原則の重要性を、みんなで共有し、その遵守を徹底することです。このことは基本中の基本でしょう。
その上で、組織的に管理すべき文書は、組織として系統的に保管し、着任したばかりの職員も含め、組織内の誰もが一見してわかるようにする一方、個々の職員は、基本的には、個人メモ以外は持たないようにとすることが肝要かと思います。
このことは、職務を整然と個々の職員に割り振る一方、その割り振られた仕事の責任を、個々の職員のみに押しつけるのではなく、組織全体で共有できるようにすることに資することでしょう。また、そうすることにより、全体としての文書のボリュームを減らし、執務環境の改善にもつながる面もあると思います。
また、パソコンの中の共通フォルダに保存している文書と紙で保存している文書との関係も着眼点かもしれません。フォルダの中の分類方法が適切かどうかなど、フォルダと個々のファイルのメインテナンスにも配慮が求められるでしょう。
これは思いつきですのでピントがはずれているかも知れませんが、公表・PR用資料と内部資料を区別し、公表・PR用資料は、外部に使うときにすぐに取り出せるようにすることもあり得るのではないでしょうか。公表・PR用資料用のフォルダをつくり、各係のフォルダからファイルをコピーして一括して管理する方法は無意味でしょうか。
公文書以外の文献、資料等については、適切な保存、破棄、メインテナンスが求められます。資料、文献等は放っておいてもどんどん増えていきますから、何を残し、何を廃棄するかについては、判断が求められます。そのような意味で、経験豊かな幹部、中堅がその選別眼を発揮することは大切です。また、貴重な文献、資料等は、複製をとり、日常業務にはこの複製を使うなどの配慮があっても良いのではないでしょうか。

選挙部のみなさんには、たくさんの仕事をお願いしており、大変な激務が続き、ご苦労をおかけしていることは私も承知しています。そのような中にあって、文書管理の改善や文献、資料の保管、整理と言われても、そこまでなかなか手が回らない状況にあることも理解しています。
ですから、今の状況をすぐに改めることができるとは思いませんし、状況が一朝一夕に改善できるとも思っていません。
このメールでは、私の問題意識を率直に吐露させていただきましたので、まずは、これらの問題意識があたっているのかどうかも含め、みなさん一人一人にお考えいただきたいと思います。
その上で、もし、可能であれば、課室長や主幹のみなさんにリーダーシップを発揮していただき、職場討議も行っていただいて、ささやかでもいいから、改善に向けてステップを踏み出していただければありがたく存じます。
このような取り組みを行うことは、職場にとって、また個々の職員のみなさんにも負担増になり、ご苦労もおかけすることになると思います。同時に、長い目で見れば、仕事の効率化、執務環境の改善、職員の健康保持などの面でさまざまなメリットをもたらすことにもつながると信じます。
ある部局では、過去の改革の大きなステージにおいて、当時の職員が心血を注いでつくった膨大な資料があったのですが、それらは、2回の引っ越しなどもあり、不幸なことにまったく失われてしまいました。もしそれらが残っていれば、これからの改革を進めるにあたって大きな参考になったでしょうし、今後予想される作業も相当程度軽減できたことでしょう。この部局では、同じ種類の資料を、当時の職員に取材しながら、一からつくらなければならないかもしれません。その労力は膨大なものとなることでしょう。
私たちは、長い間、限られた人員の中でそのときどきの重要な問題解決を迫られ、限られた時間の中で過酷な作業を強いられてきました。そのような歴史の積み重ねの中で、ともすれば、その場その場を乗り切ることに精力を使い果たしてきたというのが実情だったかも知れません。
しかしながら、仕事がますます増える一方、人員の拡充が難しいと見込まれる状況の中では、今までのようにその場しのぎの対応を繰り返すことは、ますます自分で自分の首を絞めていることになるのではないかという疑念は消えません。
文書の適正な管理を日常業務の中にビルトインさせていくことにより、中長期の観点に立った仕事の効率化とさまざまな意味におけるリスクの最小化を図ることが必要であり、そのための取り組みが求められるのではないかということが、私の問題意識です。
 
長文のメールを最後までお読みくださり、ありがとうございました。

Share on LinkedIn
LINEで送る
Pocket