久元 喜造ブログ

三木谷浩司+良一『競争力』

mikitani
楽天代表取締役会長兼社長の三木谷浩史氏のお父上、三木谷良一氏は、経済学者でした。
本書の「はじめに」で紹介されているご経歴によれば、世界恐慌が起きた1929年、神戸市灘区に生まれ、当時の神戸経済大学、今の神戸大学経済学部を卒業後、研究者の道に進み、1972年から1993年に定年退官するまで、神戸大学経済学部教授として教鞭を執られました。
専門は、金融論とアメリカ経済論で、日本金融学界の会長もお務めになられました。
2013年11月9日にご逝去。
私は、市長に当選した直後で、就任前でしたが、ご葬儀に参列しました。

本書は、三木谷父子が「競争力」をめぐって行った徹底討論です。
イノベーション、オペレーション力、アベノミクス、ローコスト国家、国際展開力、教育力、ブランド力の各項目について議論が闘わされ、各章の最後に提言が掲載されています。

終章は「競争力とは何か」。
浩史氏は、「競争は戦争ではなく、製品の開発、価格、販売などについて相手国より経済的に優位になる」ことだと指摘し、「国というプラットフォーム」に着目されます。
「日本人だけでやろうとするのでなく、さまざまな国や人種や民族の人たちが集まってくるプラットフォームとして、日本が魅力のある国にならなければいけない」と指摘し、本書は締めくくられます。

このご指摘が神戸に一層強く当てはまることは、言うまでもありません。