久元 喜造ブログ

読売・品田教授「若者の意識変える機会に」

160622
参院選が公示になり、昨日の読売新聞「論点スペシャル」では、神戸大大学院法学研究科の品田裕教授が若者の選挙権行使について論じておられました。

若い世代が投票になかなか行かない理由の一つは、「投票に行っても何も変わらないし、行っても無駄だと思っている人がいるから」です。
つまり「選挙に行くかどうかは自由だ」という発想が前提になっています。
このような現実に対して、品田教授は「まず「選挙には行くものだ」という前提を持ってもらって、そのうえで行くか行かないか判断してほしい」と指摘されます。
私には、とても新鮮に感じられました。

というのは、低投票率の原因として、これまでは、政治不信、争点・対立軸の不在、候補者の魅力不足など、有権者との関連における外部要因が挙げられてきたように思われるからです。
このような主流の論調と比較すれば、若者を含む有権者の投票態度に対する真正面からの指摘は、ある意味で勇気ある発言と感じました。

品田教授は、「選挙で投票するという経験は、判断力を磨くよいトレーニングの機会だ」とおっしゃいます。
「1年に1回でも投票をしている人と、全く背を向けている人とでは、その差が出てくるはずだ」とも。
「選挙の前に誰に投票するかを考えることは、社会生活で判断を迫られたときに、短時間で効率的に判断する力も養う」ことは確かです。
投票権の行使は、政治にに対する参加という側面にとどまらず、自分自身との対話でもあるのです。
社会にとっても、個人にとっても、ニヒリズムから得られるものはとても貧しいということなのかもしれません。