久元 喜造ブログ

公募にふさわしいポストとは。

9月19日のブログ 9月20日ブログ 、で、区長の公募がいかに不適当かについて触れました。
それでは、行政組織のポストは、すべて公募には向いていないのでしょうか。そんなことはないと思います。

一般に、国や自治体、また、企業でも、新規採用は、ふつう、公募で行われます。したがって、公募が問題になるのは、内部から登用するような特定のポストを、民間を含め、公募することの是非ということになります。

内部登用ではなく、民間を含めひろく公募により人材を求めることは、しばしば有効です。
たとえば、①これまで向き合ってこなかった行政課題が出てきて、その課題に通じた人材が内部にいない場合、②課題の解決や政策の新しい展開を図るため、新しい発想が求められる場合、③長年の懸案がなかなか解決できず、外部人材を活用して一気に解決を求めようとする場合、④組織にマンネリや沈滞が見られ、外部から新風を吹き込み、組織の体質を改善したいと考える場合、などが挙げられます。

このような場合にも、公募ではなく、国やほかの自治体、民間企業から派遣を要請することも考えられます。要請を受けた側は、私の経験では、できるだけ要請の沿うような人材を探し、派遣に応じることが普通です。これは、ある種、頼まれた側における一種のプライドのなせるわざです。

国や他の自治体からの派遣、既知の民間人からの登用ではなく、ひろく公募により人材を求める動機は、結局のところ、未知の知識、発想、資質、人脈などに期待することにあると思われます。
リスクはありますが、思いがけず、才能にあふれる人材を得られる可能性もあります。

未知の可能性とともに、リスクがあることを十分認識し、公募するポストや求める人材のイメージ、処遇の条件などを明確にした上で、公募に踏み切ることが必要です。
もちろん、選抜に当たっては、選抜する側の眼力が問われます。重要ポストの場合には、トップ自らが面接などにあたるべきでしょう。

公募などのより外部から人材を登用する場合に大事なことは、任命した後の対応です。
生え抜きの職員ばかりの職場の中で孤立したり、これまでとは異なる職場の雰囲気や風習に戸惑うことがないよう、しっかりとケアすることが大切だと思います。